Nature専門誌に論文掲載 三菱ケミら研究プロジェクト

2021年05月27日

ゴムタイムス社

 三菱ケミカルは5月26日、同社、日本IBM、JSRおよび慶應大が、IBM Quantum Network Hub(慶應大量子コンピューティングセンター内)にてかねてより取り組んでいた「量子コンピューターを用いた有機EL発光材料の性能予測」の研究プロジェクトで得られた成果に関する論文が、世界的に権威のあるNature Research出版社の専門誌「npj Computational Materials」に掲載されたと発表した。

 同研究プロジェクトは、有機EL発光材料の一つであるTADF材料の励起状態エネルギーの計算を実施するため、三菱ケミカルとIBMが主導し、JSRや慶應大と共に取り組んできた。従来から量子コンピューターによる計算は実機特有のエラーの発生が課題となっていたが、今回、同プロジェクトではエラーを低減させる新たな測定手法を考案し、計算精度を大幅に向上させることに成功した。量子コンピューター実機を用いて実用材料の励起状態計算に成功したのは、世界初の成果となる。

 今後、実機の計算能力の進化と共に従来以上に精密な計算を行えるようになり、より発光効率の高い材料設計に寄与することが期待されている。同社は今後も、量子コンピューターを幅広い材料開発に用いるための研究を進めていくとしている。

 

TADF材料の構造、軌道分布と計算結果

IBM Quantum Computer

IBM Quantum Computer

 

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