ブリヂストンは5月28日、同社の米国グループ会社であるブリヂストンアメリカスインクが、傘下のファイアストンインダストリアルプロダクツカンパニー・エルエルシー(以下、FSIP)の米国ケンタッキー州ウイリアムズバーグにある空気バネ工場(以下、ウイリアムズバーグ工場)を増強することを発表した。総投資額は約5100万ドル(約56億円)で、2021年第2四半期中に着工、2022年末までに増強を完了する予定。なお同社は、同件が2021年12月期の同社グループ連結業績に与える影響は軽微としている。
空気バネはサスペンションとして機能する自動車部品で、FSIPは米州多角化事業の一つとして、乗り心地や操安性といった基本性能に加え、近年は技術イノベーションを通じてEV向けに電費の向上やバッテリーの保護に貢献する製品を開発・製造している。今回、ウイリアムズバーグ工場では世界的なEVの需要拡大に対応し、主にEV向け空気バネの生産能力を増強する。
同社グループは、「2050年サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供する会社へ」をビジョンとして掲げ、中期事業計画(2021―2023)を推進している。自動車業界ではCASE化が進んでおり、その中でもカーボンニュートラル化へ向けグローバルでEV(電気自動車)化が加速している。同計画では、サステナビリティ・モビリティの進化を見据えた断トツ商品戦略の展開をおり込んでおり、EV化の加速に対応した高付加価値商品、技術の拡大・強化を進めている。
また、同計画の中で同社は、多角化事業について同社グループのコアコンピタンス、シナジーが活きる事業にフォーカスするとしている。FSIPが製造する空気バネは、同社グループが目指すSDGsの達成、持続可能な社会実現への貢献を前提とした「サステナビリティビジネス構想」、モビリティの進化を支えることにおいて、シナジーが最大化されると判断し、今回の増強に至った。