帝人は6月1日、同社の炭素繊維「テナックス」を使用した中間材料が、日機装が開発する航空機向けの次世代エンジン用ナセルの部材として採用されたと発表した。
ナセルの部材は、エアバス社が進めている「Propulsion of Tomorrow」プロジェクトに採用が決まっており、2021年末までに試作品がエアバス社に納入される予定となっている。
今回、ナセルの部材として採用された炭素繊維中間材料は、同社が独自開発した航空機用の高性能速硬化エポキシ樹脂を使用したプリプレグで、一般的な航空機向けプリプレグよりも低温度で、且つ短時間に成形することができる。
また、航空機用途で広く使用されているオートクレーブ成形だけでなく、大量生産に適したプレス成形にも対応可能で、プレス成形した場合もオートクレーブ成形と同等の品質を実現する。
さらに、Automated Fiber Placementに対応していることが特徴となっており、速硬化エポキシ樹脂による短時間成形と、Automated Fiber Placementによる自動積層技術を組み合わせることにより、生産効率を最大限に高めることが可能となる。
こうした生産性やコスト効率に優れる点が高く評価され、今回の採用に至った。
同社は、今回の採用を契機に、中期経営計画において「Strategic Focus(将来の収益源育成)」に位置づけている航空機向け炭素繊維中間材料の展開をさらに進めるとともに、持続可能な社会の実現に向けたソリューション提供を強化し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していくとしている。