主要上場ゴム企業の2011年3月期連結決算が出揃った。合成ゴム2社を含む27社集計の業績は、リーマンショック後の景気回復基調を反映し、需要業界の好調から生産が伸び、約8割(27社中21社)が増収増益となった。しかしながら、2012年3月期の業績予想は10社が未開示で、東日本大震災の影響も大きく、先行き不透明感が強まりつつある。
世界同時不況による需要減の厳しい市場環境を乗り越え、11年度は年初から順調に需要が拡大し、自動車・半導体関連製品の生産増からタイヤをはじめ自動車ゴム部品などの需要が伸び、加えて各社の収益改善策が奏功、増収増益が大勢となった。 27社の業績を分析すると「増収増益」が21社、「増収減益(経常損失含む)」が2社、「減収増益」1社、「減収減益」3社となり、約8割の企業が増益を達成した。27社合計の売上高は3兆3998億6200万円、前期比11・4%増と1割伸長、営業利益は2394億8900万円、同77・6%増、経常利益2304億4600万円、同71・4%増と大幅な増益となり、当期純利益は1329億3300万円、同85・7%増となった。 業種別にみると、横浜ゴム、東洋ゴム工業のタイヤメーカーは中国、アジアを中心とした海外でのタイヤ需要が引き続き増大しており、生産能力増強を積極的に進めた。両社とも増収増益を達成したが、横浜ゴムは2ケタの増収増益、東洋ゴムは小幅な伸びにとどまった。合成ゴムの2社も揃って増収増益となったが、JSRは売上高は約1割の伸びで経常利益は90%増、日本ゼオンは売上高が約2割の増収、収益面は経常利益が255・9%増と大幅な増益。 工業用品関連も自動車の生産増、半導体市場の伸長など、全体的に需要が増大し、大方の企業が増収増益となった。 2012年3月期の業績見通しについては、中国を中心としたアジア市場の拡大による輸出の好調が見込まれるが、国内需要は新年度以降回復力に乏しく、東日本大震災の影響も大きく、次期の連結業績予想は27社中10社が「予測が難しい」ことから未開示となっている。
2011年05月30日