東レは6月7日、山梨県、同社、東京電力ホールディングス(以下「東京電力HD」)及び東光高岳が、甲府市米倉山の電力貯蔵技術研究サイトにおいて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として共同で技術開発を進めてきた、再生可能エネルギーの電力でグリーン水素を製造し化石燃料の利用を低減させることを目的としたプロジェクト「H2―YES」におけるP2Gシステムの試運転を、同日開始したと発表した。
P2Gシステムは、水の電気分解から水素を製造する技術であり、カーボンニュートラル社会の実現に向け、再生可能エネルギーの導入拡大と温室効果ガスの削減において、世界的に期待されている。特にH2―YESでは、メガソーラーの変動する電力と大型の固体高分子型水電解装置により水道水から水素を作り出し、水素吸蔵合金システムに水素を貯蔵するなど、安全・安心にグリーン水素を利用できるシステムを構築した。将来の再生可能エネルギーの大量導入に併せ、様々な地域や場所への当該システムの展開を目指していく。
今回の試運転は今年秋頃までを予定しており、水素の製造及び貯蔵等に係る試験調整を行いつつ、山梨県内の工場やスーパーマーケットへ輸送し利用する一貫したシステムにより、社会実証試験を全国に先駆けて開始する。今後は、段階的に水素の製造量を増加させ、年内を目途に、当初の計画である「1時間あたり300Nm3、年間45万Nm3」の水素による本格的な実証試験へと移行する計画となっている。
山梨県、同社、東京電力HD及び東光高岳は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル社会の実現に向け、P2Gシステムの更なる高効率化・大容量化と、国内外への普及を図るとともに、エネルギー需要家の化石燃料の利用をグリーン水素に大きく転換させるため、引き続き協力して取り組んでいくとしている。