三井化学は6月9日、無孔でありながら湿度をコントロールできる新素材フィルム「無孔調湿フィルム」の市場開発を開始したと発表した。
無孔調湿フィルム(開発品)は、無孔であるため、液体や雑菌などの異物はフィルムを通過させず、湿度のみ調整することができる。また、同フィルムの原料である特殊ポリオレフィンは、現在市場に存在する調湿性を有する素材のように複合素材ではないため、将来のリサイクルも容易となる。
なお、同フィルムは、「第3回感染症対策総合展」(6月17日~19日、ポートメッセ名古屋)及び「第9回高機能プラスチック展」(6月23日~25日、インテックス大阪)に出展予定となっている。
一般に、ウレタンフィルムのように透湿性の高いフィルムやポリオレフィンフィルムのように透湿性がほとんどないフィルムは存在する。一方で、同フィルムは、低湿度の条件下では水蒸気をほとんど通さず、高湿度の条件になるにつれ水蒸気を徐々に通しやすくなるという特異的な性能を有している。その特殊な性能により「まるで呼吸するかのように」空間の湿度をコントロールする。
同フィルムは、液体や雑菌などの異物を通さず、湿度のみをコントロールできることから、建築素材として、また布や不織布と貼り合わせてアパレルや防護服などでの利用が考えられる。
新型コロナウイルスの影響により、リモート社会へのパラダイムシフトが始まった社会において、生活空間の快適さの重要性がますます高まるものと想定される。同社は、無孔調湿フィルム(開発品)がそれらの要望に貢献できる素材であるとしている。