三井化学は6月14日、同社元常務執行役員の小川伸二氏が、高分子学会より2020年度高分子科学功績賞を受賞したと発表した。
高分子科学功績賞は、高分子基礎科学および応用科学の発展のために、多年にわたって顕著な業績を挙げた会員を対象に、その功績に報いるとともに、高分子科学の普及啓発に資し、その水準の向上に寄与することを目的に制定された。
今回の受賞では、小川氏の同社在籍時の業績である①機能性ポリオレフィンの工業化、②ポリ乳酸の重合技術開発、さらに、高分子学会代表理事・副会長としての貢献が高く評価された。業績である機能性ポリオレフィンの工業化によって開発された製品群は、現在の同社成長領域であるモビリティー事業や、フード&パッケージング事業の中核となっている。
小川氏は、「今回の高分子科学功績賞の受賞の根拠となる業績は、事業、研究、生産はじめ各部門の多くの方々が先達からの継承を受け協同して開発・工業化に尽力されたもの。本受賞は当社の取り組みが評価され、その中で一員として機会に恵まれた巡り合わせによるもので、幸運なこと。すべての皆様に心から感謝している」とコメントしている。
小川氏は同社在籍時、同受賞に関するポリ乳酸、超臨界流体の化学反応への応用のほか、先導的な技術開発に対して陣頭指揮をとり、特にポリ乳酸の開発では開発初期からセミコマーシャルプラント構築を意識した生産技術開発をリードした。RC・品質保証関連では、安全性評価の社内評価体制の深耕にも注力し、最新の反応発熱量測定機の導入や社内体制を確立した。また、安全環境技術面でも安全工学チームの立上げなど保安技術深耕に関する体制整備を推進した。生産技術研究所在籍中には、スケールアップデータを迅速かつ的確に取得するためのエンジニアリング・ベンチ試験装置の導入を進め、同研究所の重要機能の強化に貢献した。さらに、産学官の連携も重要視し、特に先導研究では大学、産総研他と同社との様々な共同研究の推進、国プロへの参画を押し進めた。2020年7月に同社を退職、現在は大阪大学招聘教授を務めている。