住友ゴム工業は6月25日、同社の市島工場でオオムラサキの羽化が始まったと発表した。
オオムラサキは1957年に国蝶に選ばれ、現在は準絶滅危惧種に指定されており、自然環境を測定する目安になる指標昆虫の一つにもなっている。同工場では工場内に建てたケージの中で、2007年からオオムラサキの育成に取り組んでおり、2011年から毎年、近隣の幼稚園や保育所の園児たちを招待し、観察会を実施している。
今年は新型コロナウイルス感染症対策を講じ、6月22、23、24日に、近隣の認定こども園「あいいくの丘」と「いちじまこども園」の園児を招き、観察会を実施した。園児たちは、初めて見るオオムラサキの美しさに息をのみ、目を輝かせながら熱心に観察していた。
観察会の後は、工場に併設されたゴルフ科学センターを開放し、園児たちは広い芝生の上を思いきり走り回ったり、寝転んだりなど、思い思いに同社施設を楽しんだ。
市島工場は敷地の約7割が緑地という豊かな自然環境を生かし、さまざまな環境保全活動を行っている。オオムラサキの育成は2007年に幼虫の餌となるエノキの木を種から育てることから始まり、木が1m程度に育った2011年から幼虫をケージに放ち、羽化を成功させた。育成に際しては、川西市環境審議会専門委員・兵庫丹波オオムラサキの会会長である足立隆昭氏にアドバイザーとして参画してもらい、毎年オオムラサキの美しい姿を観察している。また、岡山県にあるタイヤのテストコース内でも、市島工場のノウハウを活用し、オオムラサキの育成に取り組んでいる。
同社は今後も環境保全や地域との共生を図るため、さまざまな活動を行っていくとしている。