フタムラ化学が製造に着手 バイオマスOPPフィルム

2021年07月01日

ゴムタイムス社

 フタムラ化学は6月29日、植物油廃棄物などの再生可能資源を用いたマスバランス(物質収支)方式によるバイオマスプラスチックを使用した食品包装フィルムを展開するため、バイオマスの認証制度として欧州で広く採用されているISCC(国際持続可能性カーボン)認証取得に向けて準備を進めていると発表した。

 同社は今夏にも正式な認証取得を見込んでおり、既に第三者認証機関による監査は完了した。まずは、バイオマスポリプロピレンを投入し、同社の名古屋工場において、食品包装フィルム業界では国内初となるバイオマスOPPフィルムの製造を開始する。

 バイオマスポリプロピレンは、起源として植物油廃棄物などの非可食油からバイオナフサもしくはバイオプロパンを精製し、既存のプラント等へ石油由来原料と混合することで生産される。植物由来原料の割合は、国際的に適用されているマスバランス方式に基づいて、バイオマスポリプロピレンの最終製品として任意の濃度で割り当てることができる。また、このマスバランス方式は、サプライチェーンに関わる全ての企業が第三者機関によるISCC認証を受ける事で、トレーサビリティーが担保される仕組みとなっている。

 ISCC認証取得に合わせてバイオマスプラスチックを製品の原材料として購入する同社は、石油由来ポリプロピレンと構造・性能とも同じであるこの原材料を使用することで、従来製品と比較して品質を落とすことなく安定的にフィルム製品を製造・供給することが可能となる。なお、ISCCの認証には循環経済によるリサイクルプラスチックも範囲としており、今後、廃棄プラスチックからのリサイクル樹脂の使用も可能となる。

 食品包装業界では近年、消費者や消費財メーカー各社から、より持続可能な社会に貢献する包装材が求められており、今回バイオマスプラスチックを使用したフィルム製品を展開することにより、同社は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、化石資源使用量削減やバイオマス資源の利用促進に貢献していくとしている。

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