ドイツのランクセスは6月30日、上海化学工業団地(SCIP)において、アジア太平洋地域用途開発センター(AADC)の開所式を18日に行ったと発表した。
AADCは、同社のアジア太平洋地域における新しい研究拠点で、地域内でのイノベーション能力を大幅に向上させることが期待されている。同センターでは、まず、ポリマーアディティブス(PLA)、ルブリカントアディティブス(LAB)、ウレタンシステムズ(URE)の3つのビジネスユニットの研究活動を統合する。AADCは、SCIPに新設されたInnoGreen上海国際化学新材料イノベーションセンターで事業を始める初のプロジェクトとなる。
開所式には、同社アジア太平洋地域の銭明誠社長、上海ドイツ連邦共和国総領事館のトーマス・トリラー総領事代理、中国石油・化学工業連合会(CPCIF)の李寿生会長、上海化学工業団地の運営管理委員会(SCIPAC)ディレクターの馬静氏、AADCのアニカ・ファン・アーケン代表らが出席した。同社のマティアス・ツァハト経営委員会会長兼最高経営責任者(CEO)と経営委員会メンバーのアンノ・ブロコウスキー氏は、オンラインで参加した。
AADCの設立は、同社が中国の成長可能性を信頼していることを明確に示すものといえる。世界最大の化学品市場である中国の化学品売上高は、すでに世界全体の40%を占めており、2030年には50%に達する見込みとなっている。
2019年9月、同社は中国における持続的成長のための新たな拠点となる統合的な施設を設立するため、SCIPとの基本合意書(MOU)に署名した。その2カ月後には、中国とアジア太平洋地域におけるイノベーション能力を強化するため、包括的な用途開発センターを設立する計画を発表した。2020年3月、同社はAADCがSCIPに設立されることを発表し、AADCの建物の引き渡しは2020年12月に行われた。
中国でのプレゼンスを維持していたことで、同地域はパンデミック下でも強い需要を保った唯一の市場となった。2020年の大中華圏での売上高は、同社の全世界での売上高の14%を占めている。