帝人は7月12日、ベトナム・ハナム省に新設したプレプレグを中心とする炭素繊維製品の工場で商業生産を開始することを発表した。
軽量で剛性に優れる炭素繊維製品は、スポーツや釣りなどの分野で高いパフォーマンスを発揮するため、これまで長きにわたって関連用品の主要部材として使用されており、近年もさらに採用が進んでいる。また、特に最近は、新型コロナウイルス感染症の影響で密を避けるアクティビティが関心を集めており、需要が急拡大している。
中でも東南アジア地域は、スポーツ用途をはじめ一般産業用途や航空機用途の炭素繊維製品の供給を担う需要地として市場が拡大している。これに対し、同社はシンガポール、上海、台湾に現地法人を設け、東南アジア地域において拡大する需要に迅速に対応してきたが、新規顧客の獲得や用途開拓の推進、地域のニーズに沿った川上から川下に至るまでのソリューション提供などを可能とするため、ベトナム・ハナム省に工場ならびに運営会社であるテイジン・カーボン・ベトナムを設立し、商業生産を開始することとした。
新工場では、まず、釣り、ゴルフ、自転車、アイスホッケーなどのアクティビティ用途向けプリプレグを中心とする炭素繊維製品の生産を担い、テイジン・カーボン・ベトナムおよび既存のアジア現地法人が、市場拡大が期待される東南アジア・南アジア・オセアニア地域に向けて販売活動を展開していく。将来的には、一般産業用途や航空機用途に向けた生産も視野に入れて事業展開していく予定となっている。
同社グループは、今回の新工場での商業生産開始により、川上から川下に至るまでの顧客対応力を一層強化し、アジアにおける炭素繊維事業のプレゼンス向上を目指す。また、長期ビジョンとして掲げる「未来の社会を支える会社」に向け、さらに邁進していくとしている。