合成ゴム・化学メーカーの22年3月期第1四半期決算から、合成ゴムやエラストマー原料など化学部門の現況をピックアップした。新型コロナウイルス感染症拡大により減少した需要回復や市況改善も後押しし、売上は全社で増収となった。
◆JSR
エラストマー事業の売上収益、コア営業利益は対前年で大幅に改善した。売上収益は自動車及びタイヤ市場の回復により増加、コア営業利益は数量効果に加え、販売価格の改定、スプレッドの改善、コスト削減効果により増加した。
◆日本ゼオン
エラストマー素材事業は、主要の自動車産業向けを中心に需要は堅調で、国内・輸出・海外子会社とも販売が好調に推移し、増収増益。高機能樹脂は、光学樹脂、光学フィルムともに販売が堅調に推移し、増収増益となった。
◆三井化学
エラストマー、機能性コンパウンド及び海外ポリプロピレン・コンパウンド事業は、需要の回復に的確に対応した結果、販売が堅調に推移した。機能性ポリマーはICT関連需要に的確に対応し、販売が堅調に推移した。
◆住友化学
石油化学品や合成繊維、合成樹脂は市況、販売数量とも堅調に推移した。一方、前年同期は持分法適用会社で定期修繕を行ったことや、コロナ影響により自動車関連用途を中心に出荷が低調だった。
◆旭化成
マテリアルは増収増益となった。自動車関連市場が回復したことに加え、需要回復等を背景として石化製品市況が急速に上昇したことなどから、大幅な増収増益となった。
◆宇部興産
合成ゴムは、タイヤ用途を中心に出荷が堅調に推移したことに加え、原料ブタジエン市況の上昇などで製品価格が上昇し、増収増益となった。
◆デンカ
クロロプレンゴムは、前年はコロナ拡大による世界経済低迷の影響を大きく受けたが、自動車など関連産業の生産活動再開とともに回復に転じてきており、前年を上回った。また、肥料や農業・土木用途向けのコルゲート管、耐火物・鉄鋼用材料の販売の販売も堅調となったが、セメントや特殊混和材の販売は前年を下回った。
◆東ソー
クロロプレンゴムは、新型コロナウイルス感染症拡大により減少した需要の回復に伴い、アジア向けを中心に輸出が増加した。
◆クラレ
ファインケミカル、熱可塑性エラストマー「セプトン」ともに、需要の回復により販売量が増加した。耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」は、電気・電子デバイス向け、自動車向けともに需要が伸び、販売が好調に推移した。
◆信越化学工業
シリコーン事業における多角的結合(インテグレーション)の充実と、車載用リチウムイオン電池負極に求められる特性を満たすシリコン負極材を開発した。
◆ダイキン工業
フッ素樹脂は、世界的な半導体・自動車関連の需要回復が鮮明になってきており、売上高は前年同期を大きく上回った。また、フッ素ゴムについても、自動車関連を中心に需要の回復が顕著となり、売上高は前年同期を大きく上回った。
2021年09月01日