積水化学工業㈱は6日、スマホ用タッチパネルなど電子材料事業を強化すると発表した。
同社グループはこれまで、微粒子群やシール剤、各種接合テープや保護フィルムなどを中心とするフラットパネルディスプレイ(FPD)分野、さらに基板・半導体分野などの機能材料を展開してきたが、FPD市場はテレビ用大型パネル、パソコン用中型パネルの需要が停滞する一方、タブレット型パソコンやスマートフォン用の中小型パネルの需要が増加している。こうした市場環境に対応し、IT関連事業の拡大を決めた。
市場の成長が見込まれるLED材料や太陽電池、リチウムイオン電池といった電池材料などエネルギー分野において、新製品開発を加速し、製品ラインアップの拡充を図る。LED材料では、放熱基板シートや封止剤、レジストなど、電池材料ではバックシート一体型封止材、低抵抗ITOフィルム、セパレータなどに注力する。
FPD分野は、市場の成長が見込まれる中小型パネル関連製品などモバイルソリューションに注力する。タッチパネル関連では、㈱鈴寅を買収し、新たに設立した積水ナノコートテクノロジー㈱(SNT)が手がけるITOフィルムの品揃えを拡大し、両面テープ製品とのコラボレーションによりシェア拡大を図る。スマートフォン関連では、高機能な両面テープなどに加え、画面の有機EL化に対応して導電性微粒子やシール剤の拡販に注力する。
これにより、10年度売上高は50億円だったモバイルソリューション関連製品を160億円まで拡大させる計画。同社は現在、電子材料の生産拠点を国内に置いているが、同社は「為替を考慮すると、中期的には海外進出も考えなければいけない」としている。
設備投資関連に関しては、IT分野の主力生産拠点である多賀工場において、これまでもモバイル機器向けに使用される導電性微粒子製造設備の増設を行ってきた。このほか両面テープのクリーン塗工設備、フレキシブルプリントサーキット用離型フィルムの生産設備なども増設してきた。今後はSNT社におけるITOフィルムのスパッタリング成膜設備の増設など、成長に向けた拡大投資を継続的に実施していく。
2011年12月12日