BASFは8月6日、同社とシノペック(中国石油化工集団公司)両社の出資比率50対50の合弁会社であるBASF―YPCが、中国・南京市のフェアブント拠点(統合生産拠点)の生産能力をさらに拡大すると発表した。これには、成長する中国市場を支援するため、新設のアクリル酸tert―ブチル工場を含む川下の化学工場の生産拡大も含まれている。
今回、プロピオン酸、プロピオンアルデヒド、エチレンアミン、エタノールアミン、精製エチレンオキシドの生産能力を拡大し、アクリル酸tert―ブチル工場を建設する。同工場は、原材料として既存のフェアブントで製造しているアクリル酸やイソブテンを川下に拡張するもので、この高度な生産技術はドイツ国外で初めて適用される。始動は2023年を予定している。
プロピオン酸(PA)は、食品や飼料穀物の保存用のカビ防止剤として使用される。気密性の高いサイロでの乾燥や貯蔵による保存中に、プロピオン酸を添加することで経済的及び環境に優れたメリットを発揮する。また、医薬品、作物保護剤、溶剤および、熱可塑性樹脂の製造にも使用される。
エチレンアミン(EEA)およびエタノールアミン(EOA)は、作物保護剤、パーソナル・ホームケア製品用の界面活性剤、ガス処理用プロセスケミカル、潤滑剤およびセメント添加剤、紙化学薬品、および活性医薬品成分の製造で使用される中間体として知られる。
プロピオンアルデヒド(PALD)は、プロピオン酸およびn―プロパノール生産の主要原料として使用される中間体で、医薬品、殺虫剤、香料、プラスチックの製造に使用される。
精製エチレンオキシド(PEO)は、化学産業における合成プロセスとしての工業用原料で、エタノールアミン、グリコールエーテル、洗浄・洗浄用界面活性剤の製造に使用される。
アクリル酸tert―ブチル(TBA)は、ポリマー製造のためのアクリル酸エステルで、合成原料として用いられる。特殊化学品として、製紙用サイズ剤やエマルジョン用途に使用されている。