ダイセル、共創サービス開始 デバイスの開発期間短縮へ

2021年08月24日

ゴムタイムス社

 ダイセルは8月19日、デバイスメーカーとともにテレビやスマホなど、各種デバイスの電子部品を創り上げる「共創サービス」を8月より始めたと発表した。同サービスは、デバイス開発における様々な課題を持つ顧客に対し同社が金属インクでの印刷による電気回路作成を提案し、顧客とともに課題解決を行いながら開発を進めていくサービスで、開発期間を従来の3分の1以下と大幅に短縮することが期待できる。

 プリンテッドエレクトロニクス分野においては、素材メーカーが配線材料などの開発を行い、デバイスメーカーが配線設計および形成検討するというように、それぞれ個別に開発を進めている。こうした開発の進め方において、デバイスメーカーが初期検討を行う場合、試作に用いる印刷装置選定や材料物性に応じた印刷条件調整の期間として通常6ヶ月以上を要するが、同サービスでは同社が初期のデバイス試作を行うため、この期間を1~2ヶ月程度まで短縮することが可能となる。さらに初期検討時の設備導入におけるコスト面でのリスク負担を回避できるため、従来よりもプリンテッドエレクトロニクスの適用を容易に検討することができる。

 また、材料に適した印刷条件や取り扱いについての情報がデバイスメーカーへ十分に伝わらないことが、開発のスケジュールを長期化させる一因になっていた。同サービスでは、同社はインク材料(銀ナノ粒子インク「Picosil」)のみを提供するのではなく、デバイスメーカーと共同で課題を可視化し、同社が保有する印刷パターン形成に関する技術や材料使用方法のノウハウを提供する。この協業により、デバイスメーカーは手戻りのない効率的な開発を進めることができる。

 さらに同サービスは、イノベーション・エコシステムの中核を担い、世界最高水準の研究を推進する産業技術総合研究所(以下、産総研)の技術協力を得て実施する。産総研の各種デバイス作製に関する先駆的かつ高い技術力と同社のインク材料技術ならびに各種インク取り扱いに関するノウハウを合わせることで、顧客が要望する様々な形状の高導電性パターンを精度良く再現することができる。

 

共創サービスの取り組みイメージ

共創サービスの取り組みイメージ

共創サービスにて使用する印刷機及び印刷パターン例

共創サービスにて使用する印刷機及び印刷パターン例

 

関連キーワード: ·

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー