三洋化成工業は8月24日、同社が製造し、医療機器メーカーのテルモが販売する中心循環系非吸収性局所止血材「マツダイト(ペットネーム『ハイドロフィット』)、海外販売名『アクアブリッド』)」について、2021年7月より香港で販売を開始したと発表した。香港の医療機関ではすでに臨床使用が始められており、医師からは日本で示された止血効果と同様に有効性が得られたと報告されている。
「ハイドロフィット」は水と反応して柔軟な被膜をつくるウレタン素材の外科手術用止血材で、同社は国内での多くの実績を経て、2019年7月には海外向けの販売名「アクアブリッド」としてCEマーキングを取得し、欧州市場での販売を開始した。CEマーキングはEU加盟国だけでなく、アジアや中東への輸出・販売においては認可条件とされる場合が増えており、CEマーキング取得を足掛かりに海外展開を加速させている。
今回の香港での販売開始は、同社にとって日本を除くアジア地域での最初の市場参入となる。同社は引き続き、アジア地域への展開を本格化するとともに、すでに販売を行っている日本国内および欧州の拡販を加速していくとしている。
同社は、今後も「ハイドロフィット」および「アクアブリッド」を通して、臨床現場の止血ニーズに応えていく。また、世界中の医療の発展と人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上の実現に貢献していくとしている。
「ハイドロフィット」は2014年の販売開始以降、胸部大動脈の人工血管吻合部に使用できる止血材として数多くの心臓血管手術で使用されている。これらの市販後の結果に加え、論文・学会発表の内容等を踏まえた臨床評価に基づいて有効性・安全性に問題がないことが、発売前の臨床試験時に比べてより多くの症例で改めて確認された。これを受けて、2020年3月には脳血管を除く血管全体の吻合部に使用できる止血材への適応拡大が承認された。