住友化学は8月24日、半導体用高純度ケミカルの製造ラインを増設し、生産能力を強化すると発表した。愛媛工場(愛媛県新居浜市)で高純度硫酸の生産能力を約2倍に引き上げるほか、同社100%子会社である東友ファインケムの益山工場(大韓民国全羅北道益山市)では、高純度アンモニア水の生産能力を約4割増強する。新製造ラインの稼働開始について、愛媛工場は2024年度上期を、東友ファインケムは23年度下期を予定している。
同社は、半導体用高純度ケミカルについて、1978年に千葉工場(千葉県市原市)で硫酸や硝酸などの生産を開始して以降、愛媛工場では91年に硫酸の生産を始め、現在は日本・韓国・中国で事業を展開している。半導体製造で精密洗浄などに用いられる高純度ケミカルは、その製造工程で金属や有機物などの異物が半導体の品質・歩留まりを低下させないよう、不純物をppt(parts per trillion=1兆分の1)レベルまで低減する超高純度化技術が求められる。同社の製品は、生産から輸送までの徹底した不純物排除によりそうした厳しい要求を満たしていることに加え、微小不純物分析技術に基づく品質保証体制を確立していることから、品質安定性に強みを有している。また、顧客の先端製造ラインへの長年の納入実績や、需要増加に対応した機動的な供給体制整備により、同社は国内外の半導体メーカーから高い評価を受けている。韓国では東友ファインケムが平澤工場と益山工場の2拠点で事業を展開し、中国では住化電子材料科技(西安)および住化電子材料科技(常州)が製造・販売を行い、顧客の工場立地に根ざした供給体制をグローバルに構築している。
半導体デバイス市場は、第5世代移動通信システム(5G)対応スマートフォンの普及に加え、ライフスタイルの変化に伴うパソコンやデータセンター関連機器の需要増加を背景に伸長を続けており、その製造工程に不可欠な高純度ケミカルの需要は今後も堅調な拡大が見込まれる。同社は、旺盛な半導体需要に対して、今回の愛媛工場および東友ファインケムでの生産能力増強により、安定供給を果たしていくとしている。