極圧添加剤の製造能力を拡大 ランクセス、ドイツ拠点で

2021年08月30日

ゴムタイムス社

 ランクセスは8月27日、ドイツのマンハイム拠点で淡色硫黄系極圧添加剤の製造能力を数千t増強すると発表した。今回の同社の設備拡張は市場における需要増に応じたもので、投資額は数千万ユーロを予定し、2023年始めには稼働を開始する予定としている。

 同社は、「アディティンEP」というブランド名で淡色硫黄系極圧添加剤を販売している。これら無色無臭の極圧添加剤は主に金属加工潤滑剤に使用される。金属表面の摩耗を低減し、高圧などの過酷な条件下でも金属表面の凝着を防止する。

 「アディティンEP」製品は主に、菜種油やそのエステル誘導体のように、ドイツ国内で調達された再生可能原料をもとに製造されている。淡色硫黄系極圧添加剤は、生態毒性学的優位性を有するため、中鎖塩素化パラフィンのような化学物質の代替として浸透しつつある。中鎖塩素化パラフィンは、環境残留性および生物蓄積性が高く、欧州化学物質庁(ECHA)において高懸念物質(SVHC)としてリストに分類されている。

 同社の潤滑油添加剤ビジネスは、潤滑油製品に配合される塩素化パラフィンのような物質を高性能で環境に優しい硫黄系極圧添加剤に代替しようとしている顧客に、技術的な専門知識を提供してきた長い実績がある。

 同社ルブリカントアディティブス(LAB)ビジネスユニットの責任者であるマーティン・ゼーヴェ氏は、「現在、工業用途向け潤滑油の分野における硫黄系極圧添加剤の市場は変化している。当社は、変化する市場に適した製品ポートフォリオを提供し、お客様の新たな市場開拓や成長をサポートしていく。この製造能力拡大によって、極圧添加剤の市場におけるリーダーシップを強化し、世界的な市場での成長機会によりビジネスの拡充に活かしていきたい」とコメントしている。

 

淡色硫黄系極圧添加剤「アディティンEP」

淡色硫黄系極圧添加剤「アディティンEP」

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