物性を予測する技術を共同開発 日本ゼオン、ADMATらと

2021年09月07日

ゴムタイムス社

 日本ゼオンは8月30日、2017年より参画している新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」において、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、人工知能(AI)によって材料の構造画像を生成し、高速・高精度で物性の予測を可能とする技術を開発したと発表した。

 今回開発した技術により、カーボンナノチューブ(CNT)のような複雑な構造を持つ材料に対し、材料物性の高精度な予測を実現可能にする。これにより、従来はAI技術を適応できなかった様々な材料系についても材料選定から加工・評価まで一連の実験作業を高速・高精度にコンピューター上で再現(仮想実験)することが可能になり、材料開発のさらなる加速化が期待される。

 同プロジェクトではカーボンナノチューブ(CNT)をはじめとする機能性材料開発の高速化を目指し、データ駆動を活用した研究を進めており、同社はADMAT、産総研と共同で、より汎用性の高い材料へディープラーニングを適用する手法を開発した。

 今回開発した技術では、まず複雑な構造を持つCNT膜の構造画像と物性をAIに学習させる。その上で、種類の異なるCNTを任意の配合で混合したさまざまなCNT膜の構造画像としてコンピューター上で生成することで、その物性の高精度な予測を可能にした。この技術は、従来のAIでは適応できなかった複雑な構造を持つ材料の組成選定・加工・評価といった一連の実験作業をコンピューター上で高速・高精度に再現(仮想実験)することを可能にするもので、材料開発のさらなる加速化を期待できる。

 今後も同社は、同プロジェクトを通じ、CNTをはじめとするナノ材料と高分子材料との複合材料を対象としたAI開発技術に取り組むとともに、幅広い材料へ適用可能な技術開発につなげ、新技術および新材料開発の可能性拡大に貢献していくとしている。

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