三菱ケミカルは9月7日、同社と大和製罐が、同社の生分解性樹脂コンパウンド「フォゼアス」を使用した生分解性リッド(紙コップ等のフタ)を開発したと発表した。
現在、リッドは一般的にポリスチレン(PS)などの非生分解性プラスチックで製造されているが、両社で材料開発、試作を重ね、今回の生分解性リッドの開発に至った。材料には同社が製造する生分解性かつ植物原料由来の樹脂コンパウンド「フォゼアス」を使用し、大和製罐が成形加工を行う。
リッドは、ホットドリンクにも対応できる耐熱性や飲み口のヒンジが切れないような柔軟性などが要求される製品で、両社で素材の材料設計やリッドの形状設計の見直しを行うことで、要求性能を満たすリッドの開発に成功した。また、「フォゼアス」は素材そのものが優れた耐熱性を有するため、ポリ乳酸などの他生分解性樹脂を使用する際に必要となる耐熱性を上げるための特殊加工が不要で、既存のPSリッド成形機での成形が可能であるという特徴も有している。
今回の生分解性リッドは、同社の生分解性樹脂「BioPBS」を内側にラミネート加工した紙コップと組み合わせることにより、紙コップ容器とフタを分別することなく、コンポスト設備で一緒に分解することが可能となる。
今後、同社および大和製罐は、コンビニやカフェでの採用を目指し、生分解性リッドのサンプルワークを進めるとともに、食品包装向けに生分解性素材をトータルで提案できるような体制を整えていくとしている。