中空構造用ハイブリッド技術 ランクセス、市場導入加速へ

2021年09月15日

ゴムタイムス社

 ドイツのランクセスは9月14日、中空構造向けハイブリッド技術の市場導入を進めていることを発表した。同技術を用いることにより、金属製の中空部材は、従来の射出成形機でプラスチック材料を用いて機能化することが可能となり、中空部材の機能化に用いられる他の従来技術と比べ、遥かに高いねじり剛性と強度を誇るプラスチック・金属ハイブリッド構造を作ることができる。

 自動車産業における用途の可能性としては、IPメンバー、ジョイントロッド、スタビライザー、シート芯材などが挙げられる。さらに、同技術は、スキーやハイキングのポール、家具や建設業界向けの部材の製造に用いることも可能となる。

 同技術は、板金を使用した従来のプラスチック・金属ハイブリッド技術をさらに発展させた技術で、大量生産の射出成形のように短いサイクルタイムで製造できるという大きな強みをもつ。これにより、効率的かつ経済的な製造プロセスを実現することができる。また、補助ユニットや工具による細工が不要なため、投資コストも低く抑えられる。加えて、比較的幅広いサイズバリエーションを持ち、価格が手頃な中空部材を使用できる点も、プロセスの費用対効果の向上に役立つ。

 同社は、同技術に、重量比60%のガラス短繊維を含み流動性の高い「デュレタンBKV60H2・0EF DUS060」などの高強度ポリアミド6製品を提供している。強度と剛性の高いこれらの材料は、対応する部品のパフォーマンスをより一層向上させる。同社は、シミュレーションによって、これらの材料が自動車のIPメンバーの設計にどのように役立つのか検証した。同社の軽量化設計の専門家であるマティアス・チューニセン博士は、「IPメンバーは、全スチール製のものと比べて約30%軽量になり、幾つかの点でより良い機械的特性を提供できることが分かった」と述べている。

 また同社は、従来のハイブリッド技術との組み合わせで長年の実績を持つシミュレーションツールをベースに、同技術の新しい計算モデルを開発した。これにより、製造プロセスや金属・プラスチック間の接合品質を正確に予測することが可能となった。

 

新技術を用いて製造されたデモ部品

新技術を用いて製造されたデモ部品

シミュレーションツールで正確な予測が可能

シミュレーションツールで正確な予測が可能

 

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