東海ゴム「変革の加速」に成果

2011年05月30日

ゴムタイムス社

西村義明社長

自動車用部品の海外拡大に加え、総原価低減活動(TCR2010)のコスト削減が寄与し、2011年3月期連結決算が増収増益となった東海ゴム工業。東日本大震災の影響で自動車メーカーの5割操業が続く中、次期業績予想は公表されていないが、同社の西村義明社長に、足元の生産動向、電力供給不足への対応、グローーバル戦略の進捗状況について聞いた。 10年度業績の総括 「増収増益を確保でき、当初公表数値もクリアできた。これは自動車用部品を中心に売上が増加したのに加え、TCR2010のグループを挙げて取り組んだ結果であり、大変嬉しく思っている。再生と変革から始めて、この10年度は再生の完遂と変革の加速を掲げてきた。自動車用防振ゴムを中心とし着実に加速ができるようになったのは大きな成果である。 自動車用を中心とした防振ゴムの構想は、描いた構想のある程度の分は出来上がりつつあり、インドの防振ゴム会社、南米、ブラジルでの事業展開が完遂すれば、描ける形でスピードが付いてくる」 足元の生産動向は 「4~6月は自動車の5割操業で当社の自動車用部品の操業も5割程度となっている。当社はピーク時の7割操業でも利益を確保できる体質改善を進めてきたが、自動車用以外の一般産業用は7~8割程度の操業となっている。 7月以降、自動車メーカーは前倒しで生産回復するとの話もあり、6月中には大体のめどがつくのではないか。業績予想については7月に入った時点で予算を作り公表するが、リーマンショックの時とは違い、需要全体が落ち込んだのではないことから、下期は相当回復すると思っている。海外の新興国向け需要は旺盛で環境小型への対応は今後もしっかり行っていきたい」 カーメーカーが節電対策で土・日操業を実施するが 「当社でも自動車用ゴム部品では7~9月の期間について木・金に操業を停止し、土日操業を行なう予定でいる。一般産業用は従来通りとなるが、電力供給不足への対応では、国内全工場、オフィス、家庭における節電の実施要項を決め、社会的責任を果たすとともに、省エネによる企業体質の強化を図っていく。」 震災の影響は 「富士裾野製作所、TRIサイタマで生産設備が若干損傷したが、現在は復旧している。客先の生産調整による売上高の減少に加え、修繕費など復旧に関わる費用及び異常低操業損失計13億円を特別損失に計上した」 原料価格高騰への対応 「高圧ホースは7月から製品価格へ転嫁すべく、値上げの検討を開始している。高圧ホースは建機向け需要が活発で中国、国内工場ともにフル生産が続いている。(産業用ホースの連結ベースの10年度売上高は約113億円、8割が高圧ホースの売上高) グローバル展開が加速しているが 「新興国への参入強化、日系以外への参入推進を図るため、中国地区では中国部品メーカーと合弁で自動車用防振ゴム合弁会社を、3社合弁による金型制作会社を設立したほか、中国現地開発体制を整備するため、近く研究開発センターの設立を計画している。また、タイには練りゴムの集中生産を行い、アジアの製造拠点に供給するゴム練り会社を設立した。 欧州地区の開発・販売拠点としてこの5月にドイツ駐在事務所を設立したが、今後、自動車メーカーの増産が見込まれるインドネシアにおいては自動車用防振ゴムの現地生産展開、また、インドネシアは最大の2輪市場でもあり2輪用樹脂ホースの現地組立会社を近く設立する計画でいる」

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