東亞合成は8月23日、同社と鴻池組が、京都大学大学院地球環境学堂の勝見武教授の技術指導のもと開発した複合ポリマー「CXP」を用いた初めての「CXPグラウト工法」による液状化対策工事を、高アルカリ性(pH10・3)および既設タンク直下という地盤で行い、十分な強度改善を確認したと発表した。
CXPはアクリル系薬剤と無機系薬剤を地盤内で結合させ、複合ポリマー(高強度ゲル)を形成する新しいタイプの地盤注入剤で、従来の地盤改良剤と比べ、①酸性からアルカリ性まで広範囲な地盤に適用可能、②養生期間は従来の5分の1に短縮、③複合ポリマーは安定で強度・耐久性に優れる、④高い安全性で水生生物への影響が小さい、という特長がある。
既設タンク直下の液状化対策工事は、同社名古屋工場内にあるタンクを使用して実施され、注入管を斜めから地盤に挿入して25tのCXPを注入した。地盤pHは10以上と高アルカリ性だったが、施工後に採取した改良土の圧縮強度は液状化対策に十分な強度を示した。
同社は今回、CXPグラウト工法による初めての実工事として、使用中であるタンクの地盤に液状化対策工事を行った。その結果、同工法による既設構造物直下地盤への適用性が明らかになるとともに、pH10を超えるアルカリ性地盤も十分に改良できることが実地盤において確認された。
同社ではすでに民間企業への紹介を開始しており、さらに工事実績を重ねて液状化被害を防止することで、地域の安全や国土強靭化に貢献していくしている。