三菱ケミカルは9月21日、同社と、子会社である三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズが、遮炎機能と高い生産性やリサイクル性を両立した熱可塑性複合材料(Fiber―reinforced Thermoplastics、FRTP)を開発したと発表した。
近年、気候変動対策として、CO2排出削減に向けた取り組みが進む中、モビリティの分野では電動化の動きが加速している。EVに代表される電動モビリティのバッテリーシステムは、搭乗者の安全を確保するための高い遮炎性と、省エネのための軽量化が求められている。従来、難燃機能の付与が比較的容易であり、軽量化を実現できる熱硬化性複合材が使用されてきたが、生産サイクルが長いこと、リサイクル性が低いことが課題となっていた。
同開発品は、同社グループが有する繊維や樹脂、バッテリーシステムに関する技術・ノウハウを結集し、熱可塑性樹脂をベースに繊維や樹脂の組成を工夫することで、強度・剛性や軽量性と加工性、リサイクル特性を両立させた製品となっている。加えて難燃機能も向上させ、実験では1000℃以上の火炎を5分以上遮炎することを確認している。同社は現在、一部の顧客との間でサンプルワークを進め、バッテリーパックの外装など用途開拓にも取り組んでいる。
同社は、多様化・高度化する顧客の要望に応える複数の新製品の開発を進めており、今後も引き続き、最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していくとしている。