ランクセスが新PBTを開発 耐加水分解性と透過性を両立 

2021年09月27日

ゴムタイムス社

 ランクセスは9月24日、高温多湿の条件下での高い耐加水分解性と、レーザー透過溶着に適した良好なレーザー透過性を兼ね備えた新しいポリブチレンテレフタレート(PBT)コンパウンドを発表した。PBTではこれまで、この2つの特性の両立は難しいとされてきたが、同社はこれらの特性を兼ね備えたPBTコンパウンド製品群の開発に成功した。

 例えば、様々な大量生産の用途において既に使用されている「ポカンB3233HRLT」は、スワール制御用のメカトロニックアクチュエータのハウジングの製造に使用可能で、ドイツ南部に拠点を置く自動車メーカーでは、ディーゼルエンジンシリーズの幾つかにこのタイプのアクチュエータが装備されている。これらのアクチュエータは、フランスのオルベにあるソゲフィ・エア・アンド・クーリング社によって開発・製造されている。

 「ポカンB3233HRLT」の高温多湿環境下での抜群の耐久性は、SAE/USCAR―2 Rev・6長期試験で実証されている。同試験は、米国自動車技術者協会(SAE)が定めた基準に従って実施され、プラスチックの耐加水分解性に関する世界で最も厳格な試験のひとつとされている。

 レーザー透過溶着法は、熱可塑性プラスチックで作られたコンポーネントの接合方法のひとつで、この方法は、非常に小さく形状が複雑なコンポーネントの費用対効果が高く環境に優しい生産法として理想的で、電気・電子機能の小型化というトレンドに合致している。この手法では、レーザー光のエネルギーを利用する。レーザービームは、レーザー透過性のコンポーネントを通過し、その下にある2層目のコンポーネント(通常は黒色顔料で着色)によって吸収される。この吸収で生じた熱が、2層目のコンポーネントの表面を溶融する。次に、熱伝導によって1層目のコンポーネントの表面が柔らかくなり、これにより2層のコンポーネントの間に強力な溶着シームが形成される。アクチュエータの場合、レーザー透過部分は黒色に着色されたレーザー透過性の「ポカンB3233HRLT」で作られ、ハウジングのレーザー吸収側は、「ポカンB3233HR」で作られている。

 

PBT製のスワール制御アクチュエータハウジングを製造可能に

制御アクチュエーターの製造に使用

アクチュエータハウジングのカバー部分

PBT製のスワール制御アクチュエータハウジングを製造可能に

 

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