ゴムシート(板)は自動車や一般産業機械、半導体製造装置などさまざまな産業分野で使われている。このため、ゴムシートは景気のバロメーターと呼ばれることもあり、経済環境とほぼ似たような傾向を示しながら、シート需要は上下動すると言われる。
弊紙では、ゴムシート特集に合わせて、各地でゴムシートを扱う卸企業を対象にアンケート調査を実施している。アンケートでは、21年1~6月(上半期)売上実績、21年7~12月(下半期)の売上予想、21年1~6月の製品価格、21年7~12月の
それによると、21年上半期の売上実績(対前年同期比)は、「横ばい」と回答した企業が75%で最多となった。次いで「上昇」が25%となり、「やや上昇」「やや下降」「下降」と回答した企業はなかった。なお、今年3月に実施した前回アンケートでは、21年上半期の売上予想は「横ばい」と「やや下降」がそれぞれ50%という結果であった。前回調査と比べると、「横ばい」が最多の回答であったことは変わらないが、「やや下降」の回答はみられず、シート商社を取り巻く環境はやや持ち直しの兆しがあるように思える。
一方、21年下半期の売上予想に関しては、「やや下降」が50%で最多となり、「上昇」「横ばい」が25%となり、回答が分かれる結果となった。
なお、21年年間のシート需要予測(対前期比)に関しては「横ばい」が75%、「伸長する」が25%で、「減少する」と回答した企業はなかった。原材料価格の動向やコロナ禍における景況悪化などが懸念材料として残るものの、年間のシート需要は概ね安定して推移するとみているようだ。
シート製品価格の動向に関する設問では、21年上半期の製品価格(対前年同期比)は「横ばい」と「やや上昇」がそれぞれ50%を占めた。
また、21年下半期の製品価格(予想)については「やや上昇」が75%、「上昇」が25%と回答し、「横ばい」「やや下降」「下降」と回答した企業はなかった。いずれの商社もシート製品価格は今後上昇するとみている。
その背景には、ナフサなど主原料価格の高騰に伴い、原料メーカーによる価格改定が数度にわたって行われ、ゴムシートメーカー各社が7~10月にかけてシート製品の価格改定を実施すると発表したためだ。
さらに、原材料価格の上昇だけでなく、シート製品を運ぶ運送業界でも人手不足による運賃の値上げが続いており、メーカー各社は「自助努力だけではこの厳しい状況を乗り越えるのは難しい」と判断した。
その他では、21年下半期に伸びが期待される需要先(複数回答可)に関する設問を用意した。それによると、最も多かった需要先が「半導体・精密機器」で回答企業全体の75%となった。次いで「医療業界」「自動車関連」「産業機械(工作機械」が25%の同率で続いている。
半導体・精密機器では、半導体市場の活況を受けて、半導体や精密機器分野に使われることの多いフッ素ゴムやシリコーンゴムの特殊シートの需要が好調を維持している。このことがシート商社の回答に反映されたとみられる。 全文:約1317文字