三井化学は9月30日、同社と韓国SKC社(SKC)のポリウレタン原料事業を統合した子会社「Mitsui Chemicals&SKC Polyurethanes(MCNS)」の合弁契約を解消すると発表した。
三井化学とSKCは、ポリウレタン原料事業について、2015年7月に合弁会社MCNSを設立し、成長市場の需要獲得、新規事業のグローバルな展開、収益性の向上を目指し、シナジーの最大化を図りながら共同運営をしてきた。ただし、この間、三井化学の高機能品・バイオ製品などにより着実に収益を向上させていく方針と、SKCのグローバル進出などの成長を重視する方針との間で徐々に齟齬を来すようになり、 両社は事業のあり方について熟慮を重ねてきた。
MCNSは、設立以来、両社事業の強みを活かした事業運営を進めてきたが、このたび、両社の事業をさらに発展・成長させるためには、それぞれの戦略に従って事業を進めることが最善であると判断した。
なお、合弁解消のスケジュールは9月末に合弁解消に関する契約書締結。12 月末に日本法人MCNS―jの解散。22年1月1日に三井化学基盤素材事業本部ポリウレタン事業部として営業開始。3月中に韓国法人MCNSの三井化学保有株式を有償減資。MCNS―jの清算完了する。
今後三井化学は長期経営計画「VISION2030」に基づく同社基盤素材事業本部の構造改革方針に従い、ポリウレタン原料事業の構造改革を加速し、さらなる企業価値向上に努めていく。
ポリウレタン事業部が所属する基盤素材事業本部でも同様に、「サーキュラーエコノミー対応製品への転換」、社会課題視点・構造改革加速などによる「事業ポートフォリオ変革の追求」などを今後の事業推進の基本としている。
ポリウレタン原料は、自動車用途、断熱材等での住宅用途、マットレス等の家具用途など生活に必要な製品であり、VISION2030達成のためにも重要アイテムと位置付けている。かねてから取り組むバイオポリウレタンなどのグリーン製品の拡充やリサイクルの社会実装はもとより、同社が保有するTDI、MDI、ポリオール全領域にわたる技術知見をベースに、先進的な高機能品の開発・供給を持続していくととともに、事業構造の改革によるポートフォリオ変革を進め、更なる事業価値向上を図っていく。
なお、三井化学、SKC両社は提携解消後も今までの良好な関係性を踏まえ、必要な範囲で協力関係を続けていくとしている。