100%バイオプラ保持器 日本精工が転がり軸受用開発 

2021年10月01日

ゴムタイムス社

 日本精工は9月28日、転がり軸受用としては世界初の100%バイオマスプラスチック由来の耐熱樹脂保持器を開発したと発表した。

 地球温暖化などの環境問題を背景として、カーボンニュートラルの実現に向けた社会的取り組みが注目される中、化石由来のプラスチックに代わって植物を原料とするバイオマスプラスチックの普及が期待されている。しかし、バイオマスプラスチックの機械部品への適用には強度や耐熱性が課題だった。

 今回開発の同製品は、従来の100%バイオマスプラスチックの課題となっていた耐熱性を高め、120℃レベルの高温環境下での使用が可能となっている。植物由来の資源を使用することでScope3でのCO2排出量を削減でき、カーボンニュートラルの実現に貢献する。

 同製品は、「軸受材料設計技術による材料の選定」「リアルデジタルツインの活用による開発期間の短縮」といった特長を持つ。

 「軸受材料設計技術による材料の選定」では、同社のコアテクノロジーのひとつである材料技術を活用し、転がり軸受用樹脂保持器として利用可能なバイオマスプラスチック材料として、DSM社のEcoPaXX(エコパックス)材料特性を評価し、樹脂保持器への適用を実現した。

 「リアルデジタルツインの活用による開発期間の短縮」では、同社のコアテクノロジーの1つである解析技術を駆使し、最適な射出成形条件や軸受回転時の負荷を予測した。また、解析結果を元に樹脂保持器を試作、軸受回転時の挙動を可視化することで、保持器としての性能を評価した。リアルとデジタルの双方向から検討を進めることで、従来のおよそ3分の1という短期間で、バイオマスプラスチック保持器の開発に成功した。

 バイオマスプラスチック保持器の適用により、同社はライフサイクル全体におけるCO2排出量を従来品(ポリアミド66)に対して91%削減し、カーボンニュートラルの実現に貢献する。

 同社は、2022年に自動車、家電向けへの同開発品の適用を目指し、その後も更なる用途拡大を目指すとしている。

 

NSK独自の開発手法を実現

NSK独自の開発手法を実現

 

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー