三菱ケミカルは10月1日、同社のグループ会社であるドイツのMitsubishi Polyester Film(MFE)において、ポリエステルフィルムの生産能力増強を行うことを決定したと発表した。投資額は約110百万ユーロで、2024年末の完成を予定しており、同社グループにとっては、2018年稼働の米国・サウスカロライナ州、建設中(2022年稼働予定)のインドネシア・ジャカルタに続く増産投資にあたる。
MFEは、工業用途やラベル用途などの高機能ポリエステルフィルムを顧客の要求に合わせてカスタマイズする技術開発力に強みを持ち、欧州市場において高いシェアを有している。近年、世界全体のポリエステルフィルムの市場成長率は5%程度で推移しており、MFEでは、顧客の旺盛な需要を満たすべく同社グループ他拠点からの調達や既存設備の効率的な運用等で対応してきた。
同社は、今後も堅調な需要拡大が見込まれると判断し、高機能ポリエステルフィルムとしては世界最大規模となる2万7000t/年の製造ラインをMFEに新設することを決定した。
新設する設備は、最新の省エネ設備を導入することなどにより、生産能力を拡大する一方で、工場全体としてのCO2排出量削減を目指す。また、顧客や消費者から回収した使用済みのポリエステルフィルムを原料として再利用することが可能な装置も導入することで、循環型経済(サーキュラーエコノミー)実現に向けた取り組みを加速する。
同社は、日本、中国、インドネシア、米国、ドイツの5拠点でポリエステルフィルムを製造し、ディスプレイ向けを中心とした光学用途、電子部品・自動車・医療などの工業用途、食品等の包装材料用途向けなどに供給している。今後も、用途毎の需要に応じて生産体制を拡充し、高機能ポリエステルフィルムのリーディングカンパニーとして積極的な事業展開を図るとともに、SDGsの達成やサーキュラーエコノミーの実現に貢献していくとしている。