宇部興産㈱(竹下道夫社長)は、日本経済新聞社が主催する「2011年日経地球環境技術賞 優秀賞」を受賞し、12月9日に日本経済新聞社にて表彰式が行われた。
「日経地球環境技術賞」は、地球の温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、生態系の乱れ、砂漠化、海洋汚染、廃棄物処理など、いわゆる地球環境問題に関する調査、研究、技術開発、ものづくりへの実践的な取り組みについて、優れた成果を表彰するもの。
今回、受賞対象となったのは香水や化粧品・シャンプー等に幅広く使用されているマリン系香料の新製法の開発に関するもの。従来、このマリン系香料は東南アジアなどに自生するクスノキ科の木(サッサフラス)の根から取れる精油を原料として製造されていた。しかし、木の乱伐によりこれらの木が絶滅の危機に瀕するとともに、森林破壊やそれに伴う水害等が深刻となり、供給不安も問題となっていた。
宇部興産はこれらの問題を解決するために、完全化学合成によるマリン系香料の新製法を世界で初めて開発した。希少樹木を使用しない本製法は、触媒反応を活用し、且つ有機溶媒を使用しないことで、廃棄物を最小限にしたグリーンプロセスを実現している。さらに本製法に置き換わることで、絶滅危惧種を含む50万本以上の木の伐採が必要なくなり、地球環境の保全と生物多様性の維持に貢献する。
宇部興産は2004年にこの化学合成によるマリン系香料『ヘリオフレッシュ®』の商業生産を開始したが、その高い品質とコスト競争力が評価された結果、現在、世界シェアはほぼ100%となり全世界に供給している。
宇部興産は、今後も地球環境に優しい技術や製品の開発を行い、持続可能な社会の実現に取り組んでいくとしている。