デンカは10月8日、5G通信向けに伝送損失を低減し、高速・大容量通信の実現に欠かせない最先端機能性セラミックスフィラー「デンカ溶融シリカ(DF)低誘電正接タイプ」を10月から本格投入すると発表した。
同製品は、半導体封止材向け絶縁フィラーとして国内外のユーザーから高い評価をえている「デンカ球状溶融シリカ(FB・SFPグレード)」をベースに、均一な球状と粒度分布はそのままに独自の表面処理改質を施すことにより、同社比で約40~50%の誘電正接低減を実現。同社では高速・大容量の5G通信実現に寄与する材料として、主に通信用樹脂材料(樹脂基板・封止材など)向けに展開し、SDGsに掲げる産業と技術革新の基盤をつくることに貢献していく。
5G移動通信ならびにミリ波帯電磁波の利用では、スマートフォンのみならず、高速・大容量である特色を生かした遠隔医療や防災、農業・製造現場の効率化など幅広い分野に導入が進み、持続可能な社会の実現に重要な役割を担っている。これに伴い、飛躍的に増加する通信の量・質の低下を最小限に留め伝送するための低伝送損失・低誘電正接の配線材料の開発が強く求められてきた。同製品は、樹脂や銅箔・ガラスクロスのみならず、フィラーにおいて低伝送損失を達成するために開発した。
なお、同製品は27日~29日に東京ビッグサイトで開催される「電子機器トータルソリューション展2021(JPCA Show)」で展示される。
同社は1915年の創業以来培ってきた無機材料の高温焼成・窒化反応・粒径制御等の基盤技術を元に、球状溶融シリカをはじめ、窒化ケイ素、窒化ホウ素(BN)、球状アルミナ、蛍光体などの様々な機能性セラミックスを製造し、これら製品は半導体・電子機器、風力発電、通信基地局、自動車等に幅広く使用されている。今回投入した「デンカ溶融シリカ(DF)低誘電正接タイプ」の他、昨年には高熱伝導材料「デンカ球状マグネシア」を投入している。さらに今後は、球状チタン酸バリウム等の新規機能性セラミックスや低誘電有機絶縁材料(LDM)、LCPフィルムなどの開発も進めていくとしている。