ダウは10月15日、二酸化炭素排出に関して、世界初となる炭素排出量正味ゼロの統合型エチレンクラッカーおよび誘導体工場を建設する計画を発表した。このプロジェクトにより、カナダのアルバータ州フォート・サスカチュワンに所在する既存の生産設備を炭素排出量正味ゼロに改修し、同時にエチレンおよびポリエチレンの生産能力を3倍に増強する。
同社は、オーガニックのブラウンフィールド投資により、設備投資を減価償却費および償却費(D&A)の水準以下に抑えるという全社的な公約を維持しつつ、アルバータ州における競争力あるエチレン、ポリエチレン、誘導体の生産能力を大幅に拡大する。同社は、世界の自社資産の脱炭素化を進めるために、年間約10億ドル(またはD&A水準の3分の1)の設備投資を工場ごとに段階的に実施する予定としている。
同社は、新しいブラウンフィールドのエチレンクラッカーにより、2030年までに段階的に約180万tの生産能力を追加する。また、誘導品の生産能力や設備改修を通じて、世界中の顧客や合弁事業に向けて、低炭素またはゼロ炭素排出の認証を受けた、約320万tのポリエチレンおよびエチレン誘導体を生産、供給できる見込みとなっている。
今回の投資は、同社の取締役会および各種規制当局の許認可を受けることを前提としている。2030年までに、同社の世界のエチレン生産能力の約20%が脱炭素化される一方、ポリエチレンの供給は約15%増加し、バリューチェーン全体で約10億ドルのEBITDA増大が見込まれる。また同社は、業界最先端のテキサス9クラッカーおよび誘導体装置と比較して、約15%低い資本集約度でプロジェクトを完了できると見込んでいる。
フォート・サスカチュワンにおける生産プロセスでは、クラッカーの排出ガスをクリーン燃料である水素へ転換し生産プロセスで使用するとともに、二酸化炭素を施設内で回収し、隣接する第三者の二酸化炭素インフラへ搬送、貯蔵する。今回の投資にフォート・サスカチュワンを選んだ理由は、この地域が非常に競争力の高いエネルギーおよび原料を供給できることによる。また、この地域では、第三者の二酸化炭素インフラも利用できる。