積水化成品、サンプル提供開始 東北大開発の非フッ素系分散剤 

2021年10月20日

ゴムタイムス社

 積水化成品工業は、東北大学で開発に成功した非フッ素系分散剤の技術を活用し、サンプル提供を開始した。フッ素系界面活性剤は生態蓄積性や環境残留性が指摘されており、欧州などで規制が強化されつつある。このため、フッ素系界面活性剤を代替する非フッ素系分散剤が工業的に求められている。
 東北大学材料科学高等研究所の藪浩准教授(ジュニアPI)は、ムール貝の接着現象に着想を受け、フッ素元素を含有しない代替分散剤の開発に成功した。同社は同研究の分散剤を用いることで、疎水性粒子を水に分散させる際に廃液へのフッ素元素の溶出がなく、生態や環境への負荷を低減した工業プロセスが実現できるとしている。
 フッ素系分散剤の特長については、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子などの低表面自由エネルギー粒子を水に分散できることや、ムール貝の接着現象を模倣した接着性ポリマーのため、粒子表面を被覆することで水などの環境負荷の少ない多様な溶媒に分散可能な点だ。
 同社は「テクポリマー」「テクノゲル」を中心とした高機能性ポリマー製品で環境貢献開発に注力している。その一環として、今後はこの研究成果を技術導入し、非フッ素系分散剤の実用化を目指していく。さらに、非フッ素系分散剤を様々な分野に応用展開を進めることで、「環境リーディングカンパニー」として環境保全に積極的に貢献していく。

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