熱可塑性プラ複合素材を開発 ランクセス、天然資源で生産

2021年10月21日

ゴムタイムス社

 ランクセスは10月20日、連続繊維強化熱可塑性プラスチック複合素材「テペックス」シリーズで天然資源のみで作った新製品を開発したことを発表した。
 今回の開発にあたり、同社のテペックス研究開発部門の責任者であるステファン・ザイデル博士は、「当社は天然の亜麻繊維から作られた生地に、バイオ由来のポリ乳酸を母材として組み合わせ、天然資源のみで作られた複合素材を開発した。この複合素材は、大規模生産に適した品質レベルでの生産が可能だ」とコメントした。
 亜麻繊維はガラス繊維に比べて大幅に密度が低く、この繊維を使用した複合素材は、ガラス繊維で強化されたものよりも格段に軽量化されている。「テペックス」の特徴である優れた機械的性能は、主に特定の方向に配列された連続繊維に基づいている。亜麻繊維を連続繊維強化生地の形で使用することで、その特徴を発揮するバイオ複合素材が実現した。このバイオ複合素材の剛性対重量比は、同量のガラス繊維強化素材のバリエーションに匹敵する。想定される荷重に合わせて複合素材コンポーネントを設計することで、連続繊維を介して大部分の力を伝達することができる。ザイデル氏は、「これにより、繊維強化プラスチックの特徴である高い強度と剛性を確実に得ることができる」としている。

 ポリ乳酸などの透明なプラスチックを母材として組み合わせると、強化亜麻生地は天然カーボンファイバーのような茶色の表面を生み出す。「このような外観は、繊維および複合素材全体が天然由来であることを強調し、例えばスポーツ用品などで視覚的な魅力を高めるだろう」とザイデル氏は説明する。この新しいバイオ複合素材は、スポーツ用品以外にも、自動車の内装部品や電子機器の筐体部品などへの応用が考えられる。

 化石原料のみを使用した「テペックス」のバリエーションと同様に、この新しいバイオ複合素材は、クローズドループの素材サイクルの一部で、純粋な熱可塑性システムとして完全にリサイクルすることができる。

 同社は、テペックスの製造において、ポリアミド11などの他のバイオベース熱可塑性プラスチックや、その他の天然繊維や再生繊維の使用を中期的に計画している。

 

天然資源のみで作られた複合素材

天然資源のみで作られた複合素材

 

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