帝人フロンティアはタイでペットボトル粉砕原料を使用したポリエステルリサイクルチップの生産を開始する。グループ会社のテイジン・ポリエステル(タイ、TPL)に自社製造設備を新設し、2022年1月より生産を開始する計画で、生産量は2025年度で7000t/年を予定している。
TPLはタイでポリエステル繊維の製造・販売を展開しているが、タイ国産のリサイクル原料(ボトルフレークス)を使用し、高品質なポリエステル長繊維の生産に用いるマテリアルリサイクルチップの自社製造設備を新設する。近年、環境に対する世界的な意識の高まりにより、リサイクル素材を使用した製品へのニーズは飛躍的に増加している。これに伴い、ポリエステル短繊維に加え、ポリエステル長繊維についてもリサイクル素材の需要が大きく伸びている。そうした中、同社は、拡大する需要に対応できるリサイクル原料の確保、および環境負荷の大きい長距離輸送を要さず、より適正な資源循環が可能な地域からの原料調達に向けて、新たなリサイクルポリエステル原料の調達先を探索していた。
しかし、同社のポリエステル繊維の主力工場があるタイ近辺は、高品質のボトルフレークスを安定的に確保することが難しいという問題があった。同社は、ポリエステル繊維製造の中核拠点であるTPLに洗浄設備や最新型のリペレット機を導入し、ボトルフレークスやリサイクルチップに関する独自の品質管理技術やリサイクル繊維の生産技術を駆使することで、タイ国産のボトルフレークスから高品質な長繊維用マテリアルリサイクルチップの生産を可能にした 今後の展開は、新設備で生産したリサイクルチップは、同社グループ向けを含め、差別化ポリエスエステル長繊維に使用するほか、リサイクルチップにより生産したポリエステル原糸は、同社グループを通じてリサイクル繊維「エコペット」ブランドとして展開する。
同社では、グループ一丸となって環境価値向上を推進するため、環境戦略「THINK ECO」を掲げ、衣料から産業資材までの幅広い用途で、環境配慮型の素材や製品を展開している。同社は、リサイクルチップの生産開始を契機とし、これまで50年以上にわたり事業展開してきたタイにおける使用済みペットボトルのリサイクル促進、および循環型社会の実現に貢献していく。