独ランクセスは、連続繊維で強化された熱可塑性コンポジット素材である「テペックス ダイナライト」が「メルセデス・ベンツSクラス」が搭載する48Vマイルドハイブリッドのオンボード電源バッテリー収納部(ロードコンパートメントウェル)の製造に採用されたと発表した。
「テペックス ダイナライト」は、軽量化設計により金属の代替素材としての需要が拡大しており、高い機械的強度を備え、同等の強度を持つ金属素材よりも約30%軽量となる。同社の「テペックス」アプリケーションの専門家であるクラウス・フォンベルク博士は、「衝突の際、バッテリーが収納部の壁を貫通したり、損傷させたりすることがあってはならない。繊維をベースとしたこのコンポジット素材は、高い強靭性と剛性でこれを実現する。また、このコンポジット素材の設計によって、ロードコンパートメントウェルが密閉構造となるため、水や電池電解液など液体の流入および流出を防ぐことができる」と述べている。
この安全性の高いコンポジット素材は、ウォータージェット切断機で切り出された約110×80cmのブランク材を用い、ハイブリッド成形プロセスによって効率的に製造されている。ここで用いられるブランク材は、ポリアミド6をベースとした「テペックスダイナライト102―RG600(2)」から作られており、2層の連続ガラス繊維で強化されている。
ブランク材の成形(ドレーピング)はスタンプ成形によって行われるが、高い延伸比により、非常に複雑なプロセスになっている。同社は様々な計算モデルを採用しているため、ドレーピングのプロセスを正確にシミュレーションすることで、成形の結果を予測および解析し、適切な対応を行うことができる。同社では、ブランク材の最適な2D切削形状を決定するだけではなく、顧客のツール構成に沿って仮想的にブランク材の成形挙動を解析し、早い段階で欠点を特定して取り除くことが可能で、これにより、プロセス設計の中に潜在する大幅なコスト削減を実現することができる。