東ソーは10月27日、バイオサイエンス事業の強化・拡大の一環として、米国Semba Biosciences(以下、Semba社)の株式を追加で取得し、完全子会社としたことを発表した。また、これに伴い、Semba社の社名をTosoh Bioscience Wisconsinに変更した。なお、今回の完全子会社化は同社の米国子会社Tosoh Bioscience LLC社を通じて行っている。
バイオ医薬品の市場は、抗体医薬品、遺伝子治療薬、新型コロナウイルスワクチン等の需要増大を背景に、今後も高い成長が見込まれている。バイオ医薬品の製造では液体クロマトグラフィー技術が一般的に利用されているが、従来のバッチ方式と比べて需要変動に対する柔軟性に優れ、かつ医薬品製造コストの低減に有効な新手法として連続クロマトグラフィー方式が注目されている。
Semba社は、2009年に世界初の卓上タイプの連続クロマトグラフィー装置Octaveを上市したクロマトグラフィー装置の製造・販売会社で、同社は2018年にSemba社へ出資し、医薬品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)に準拠した連続クロマトグラフィー装置ProGMPの開発など、ラインアップ拡充を協同で進めてきた。
同社は、今回の完全子会社化によりSemba社とより緊密な一体運営を行い、連続クロマトグラフィー事業の更なる拡大を狙うと共に、液体クロマトグラフィー用分離剤(トヨパール)およびカラム(SkillPak)事業とのシナジー創出を推進していく。急拡大が進むバイオ医薬品市場に先進的な製品を提供するため、今後も分離精製事業のグローバルな基盤強化を積極的に進めて行く計画としている。
同社は、今後も既存事業の強化や周辺・新規領域への展開を通して、バイオ医薬品精製のトータル・ソリューション・プロバイダーを目指していくとしている。