帝人は10月27日、同社グループで自動車向け複合成形材料事業を展開するテイジン・オートモーティブ・テクノロジーズ(米国、TAT)がフランス拠点で生産性、外観性、寸法・品質安定性に優れる「シートモールディングコンパウンド(SMC)」の製造設備による商業生産を開始したと発表した。設備投資額は約7億円(約600万ドル)。
SMCはガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させ、シート状にした成形材料向けの中間基材。TATは、自動車向けのコンポジット部品の北米最大のサプライヤーとしての地位を確立し、主にガラス繊維を用いた自社開発のSMCを製造している。このほどフランスでの商業生産を開始したことで、ポルトガルやチェコの成形拠点とともに欧州におけるバリューチェーンを確立した。これにより自動車産業の主要市場の1つである欧州の域内で、北米と同様に材料から成形までの一貫生産体制を実現したことになる。
今後、TATは、開発中の低VOC(低揮発性有機化合物)などを使用した製法も加え、優位性の高いコンポジット製品を拡大展開することで、欧州の自動車メーカーのニーズに対応していく。
同社グループは、自動車業界が求める軽量、安全で、エネルギー効率や耐久性に優れる部品をグローバルに提供することができる世界有数のリーディングカンパニーとして、さらに確固たる地位を確立していく。また、バリューチェーン全体のライフサイクルにおけるCO2排出量削減に向けた技術開発や様々な取り組みにも注力し、2030年には、自動車向け複合成形材料事業の売上を20億ドル規模へと拡大していく。
2021年11月02日