TOYO TIREは11月6日、茨城県のイモンモールつくばで、ユーザー向けの安全啓発活動と全天候型オールシーズンタイヤ「セルシアス」の体感試乗会を開催した。
セルシアスは、通常の乗用車用タイヤに求められるドライ・ウェット路面への制動性能を確保しながらも、左右非対称のトレッドパターンにより、降雪時にも路面をとらえるスノー性能を発揮することが特長のオールシーズンタイヤ。
試乗会はセルシアスを装着したデモカーでの一般路走行とドライブシミュレーターを用いた体感試乗の二部構成で実施された。
まず、試乗の前にオールシーズンタイヤなどの特性をドライブシミュレーターを用いて体感した。
ドライブシミュレーターでは、実車に近いハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダルはもとより、運転席から見える景色を映すモニターや走行音などを出すためのスピーカー、車両の揺れを再現するための揺動機構などを備えており、同社が独自にソフト開発したコンピューター制御により、走行時の挙動などをドライバーが体感することができる。
シミュレーターでは3つの比較検証を実施した。
まず、圧雪路の制動距離比較では、夏タイヤ、オールシーズンタイヤ、スタッドレスタイヤの順で直線の圧雪路を60キロまで加速し、ブレーキポイントでブレーキペダルを一気に踏む状態での制動距離を比較した。
夏タイヤはスリップしてしまい、停止するまでに時間がかかったが、オールシーズンタイヤは雪上でもグリップが効き、夏タイヤよりかなり手前で停止することができた。スタッドレスタイヤとの比較でもほぼ同様の距離で停止する事ができた。夏タイヤと比較して、オールシーズンタイヤは雪上の制動距離が短くなる事が体感することができた。
続いて、圧雪路の旋回性能比較では、夏タイヤ、オールシーズンタイヤ、スタッドレスタイヤの順にパイロンに沿って、コースを一定の速度で反時計回りに円旋回し、各タイヤの旋回性能を比較した。
夏タイヤではグリップが全く効かずに大幅にコースアウトしてしまったが、オールシーズンタイヤはコントロールが効いた状態で安定して走行する事ができた。スタッドレスタイヤは、さらに加速した状態で路面を捉えて旋回する事ができた。
オールシーズンタイヤは、スピードを上げたコーナリングでは、滑り量が若干増えていくものの、普通に運転する場合では、スタッドレスかオールシーズンタイヤか判別がつかない程のグリップ性能を感じることができた。
最後に、圧雪路のハンドリング性能比較・登坂性能比較では、夏タイヤ、オールシーズンタイヤ、スタッドレスタイヤの順に一般道を想定したカーブの多い坂道を走行し、ハンドリング性能などを比較した。
夏タイヤでは制御不能な状態になり、タイヤが空転し、前進することも出来なくなったのに対し、オールシーズンタイヤはスムーズに発進することができ、下りのカーブでも安定した走りを見せた。スタッドレスタイヤはスピード、ハンドリング性能もさらに安定し、コーナリングもドライ路面走行時と遜色ない安定感があった。
登板性能比較では、夏タイヤは路面を掴めず、全く登れない状態だったが、オールシーズンタイヤは問題なく坂道を登る事ができた。スタッドレスタイヤではさらにスピードを上げて登板することができた。
シミュレーターを用いて、3種類のタイヤを走行比較することにより、それぞれのタイヤの特徴を明確に体感することができた。
試乗会はセルシアスを装着したデモカーで、8ヵ所の交差点を含む近隣のコースで実施した。
まず、交差点での左折では、冬タイヤと比較して腰砕け感が無く、振動の収まりが良く、スムーズに曲がれることを体感した。速度規制用の段差を乗り越える際には、路面からの突き上げも少なく、衝撃も緩和されており、マイルドな乗り心地を体感することができた。
国道バイパスの走行時でも、スタッドレスタイヤで発生するような細かい溝から生じるパターンノイズが少なく、夏タイヤに近い静粛性が保たれていると感じた。また、コーナーリングや車線変更なども安定しており、夏タイヤに近い走りも実感することができた。
会場を訪れたトーヨータイヤジャパンの山邊憲一社長は、ドライブシミュレーターについて「従来は冊子などを配布し安全啓発活動を推進していたが、シミュレーターで実際に乗車して体感してもらう方がより伝わるのではないか」と効果に期待を示した。また、「啓発活動だけではなく、社員研修や販売促進での利用も進んでおり、啓蒙活動と販売促進活動の二つの活動の相乗効果も生まれてきている」と今後の活用法についても期待を寄せた。
オールシーズンタイヤの販売動向については「オールシーズンタイヤは海外では売上構成比が高いカテゴリーだが、日本ではまだオールシーズンタイヤの魅力が伝わりきれていないと感じている。急な降雪にも対応できるし、交換の手間もなくなるだけでなく、保管場所も必要なくなるなどオールシーズンタイヤの魅力をユーザーだけでなく小売店にも伝えていきたいと考えている」とし、今後については「降雪時に走れるのか、音は静かなのかなどの性能のポイントを実際に体感してもらう事が重要になる」とし、「まずは知ってもらう事が大事だ」と締めくくった。
また、同会場でドライブシミュレーターを活用したタイヤ安全啓発活動も実施した。ドライブシミュレーターの体感により、普段は想定をしていないシチュエーションを疑似体験してもらうことで、タイヤの適正な取扱いに関心を持ってもらえるよう啓発を行った。タイヤ空気圧の違いによる操縦安定性の比較やハイドロプレーニング現象が発生した際の走行などの体験を提供した。