東レは11月18日、米国の子会社Zoltek Companies(Zoltek)でラージトウ炭素繊維の生産設備増強を決定したと発表した。
今回の設備増強では、Zoltekのメキシコ工場(メキシコ、ハリスコ州)の生産能力を現行の年産1万3000tから2万tに増強する計画。ハンガリー工場の1万5000tの生産能力とあわせてZoltek全体で年産約3万5000tの生産能力となる。設備投資額は約1億3000万USD(約140億円)。2023年からの生産開始を予定している。
近年、環境負荷が少ない再生可能エネルギーとして風力発電の新規導入が進められている。また、発電効率向上を目的とした発電翼の長尺・軽量化要求が強まり、比重が低く、比強度・比剛性が高い炭素繊維の使用比率が増加している。このような状況を背景に、ラージトウ炭素繊維は今後も中長期的な市場成長が見込まれている。今回の生産設備増強は、より強固な安定供給体制の確立を図り、拡大するラージトウ炭素繊維の需要を確実に取り込む目的で行われる。
Zoltekは今後も、米国、ハンガリー、メキシコに生産拠点を持つ強みを生かして、風力発電翼用途を中心とするグローバルな需要拡大に対応していく。
同社は中期経営課題「プロジェクトAP―G 2022」の基本戦略の一つとして「成長分野でのグローバルな拡大」を推進しており、炭素繊維複合材料事業のエネルギー分野はその戦略に則った拡大領域と位置付けている。同社は、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」のもと、総合力を駆使して課題解決に最適な素材をグローバルに提案・提供し続け、2050年のカーボンニュートラル社会実現に向けて貢献していくとしている。