三菱ケミカルと日本製鋼所は、NEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」で同社がパワーエレクトロニクス用大口径バルク窒化ガリウム(GaN)基板の実証開発に取り組んでいる。
このプログラムでは、2021年5月に竣工した世界最大級のGaN基板製造実証設備「大型実証設備」を使い、高品質なGaN基板の低コスト製造技術「SCAAT―LP」を用いた4インチGaN基板の量産に向けた結晶成長試験を進めているが、両社はこのほど4インチGaN結晶が計画通りに結晶成長していることを確認した。
窒化ガリウム(GaN)は、高い耐久性を持つ超高効率デバイスの実現を可能とする素材で、大幅な消費電力の削減により二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながることから、環境負荷の低減が期待されている。このため、さらなる省エネルギーを実現する高輝度・高出力レーザや、高効率照明、新世代ディスプレイへの応用のほか、情報通信、パワー半導体などさまざまな分野での応用が見込まれている。
大型実証設備はパイロット設備のオートクレーブに比べ大幅なスケールアップを行っており、大量のGaN基板の製造が可能。同社は今後、大型実証設備でさらなる実証実験を行い、高品質なGaN基板の安定供給を通じ、超高効率デバイスの実現への貢献を目指し、2022年度初頭からの市場供給を開始する予定としている。