TPE特集 三井化学 ミラストマーが好調推移 前倒しで国内ライン増設

2021年12月13日

ゴムタイムス社

 三井化学の機能性コンパウンド事業部ミラストマーグループは熱可塑性エラストマーを自動車部品用途を中心に事業展開している。
 現在注力する製品のうち、エアバッグカバー向けのTPO「TAシリーズ」、自動車内装の射出表皮向けTPS「SHシリーズ」、耐油性に優れた架橋TPV「Aシリーズ」などがある。
 同事業部の上半期を振り返ると、昨年夏頃から自動車生産が回復するとともに、需要も回復。その流れが上半期も続いており、ミラストマーの生産稼働率も高い状態で推移しており販売も伸長した。同社機能性コンパウンド事業部・水川修一グループリーダーは「ほぼ計画通りに進み、上半期は需要がタイトだった19年レベルまで回復している」という。
 製品別では、TAシリーズは旺盛な自動車需要を受け販売が好調だ。またSHシリーズは自動車分野を中心に異種材代替でシェアを獲得していく考えがあり「コロナ禍で開発が多少スローダウンしていたが、今後は顧客との面談機会なども増やし、3~4年先を見据えしっかりと受注できるように開発活動を加速していく」(水川リーダー)としている。
 以前から「ミラストマー」の需要増が続く中、同社は21年度に千葉県の三井化学サンアロイの製造拠点に製造ラインを増設した。水川リーダーは「当初の計画では22年を計画していたが、「ミラストマー」の需要は以前から旺盛で生産が高水準だった。今回のライン増設は、需要増に対応し安定供給を実現するために計画から前倒しした」と述べた。また、年間5000t規模の架橋型TPVの米国拠点(自動車用PPコンパウンドを手がけるアドバンストコンポジッツ(ACP))は昨年から本格的にミラストマーの生産をスタートし、「今年は米国で寒波やハリケーンなどの自然災害があったが、直接影響は受けてはいないものの、間接的に影響はあった。ただ、生産そのものは順調だった」(水川リーダー)。
 足元や通期の動向について、自動車メーカーが減産計画を出しているが、タイトな需給状況が続いている。ただ、昨年から急回復した自動車需要に一服感が見られる部分もあるとも捉えており、「今後、新型コロナウイルス感染拡大の第6波が来るのか、来ないのか等により、強い需要が続くか、続かないのかなど見極めが難しく不透明感が強い」(水川リーダー)との見方を示した。
 同事業部の課題として、21年は各種材料メーカーの再編がみられるなか、「今後もTPVの需要は伸長していくだろう。しっかりと需要を取り込むために、高品質、高性能な製品をより一層安定的に供給できる体制を構築していく」(水川リーダー)とするほか、顧客に材料を提供するだけではなく、顧客が抱える課題に対してプラスαの価値を提案していくことも重要だと捉えている。

射出表皮向けのTPS試作品

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