TPE特集 旭化成 水添スチレン系さらに強化 粘接着用途等需要が高まる

2021年12月13日

ゴムタイムス社

 旭化成のパフォーマンスプロダクツ事業本部で取り扱う熱可塑性エラストマー(TPE)の用途は、医療用途、自動車、電子材料、食品包材、衛生材料、スポーツシューズのミッドソールなど多岐に渡る。

取り扱う製品では水添スチレン系エラストマー(SEBS)の「タフテック」「S.O.E.」を中心に、スチレン系エラストマー(SBS)の「タフプレン」「アサプレンT」、スチレン系特殊透明樹脂(SBC) の「アサフレックス」などがある。

 今年度最終年度を迎える中期経営計画 「Cs+ for Tomorrow 2021」のテーマのうち、エラストマー事業として、①ポートフォリオの転換、②当社優位性のある製品開発、③販売計画に即した事業インフラ整備を挙げている。同事業部としてはポートフォリオの転換と水添系エラストマーを中心とした製品開発は計画通り進んでいる。とくにポートフォリオの転換では、8月にアサフレックスの撤退を決定、「今回の撤退で事業ポートフォリオ転換を加速していく。そして水添系エラストマーを強化していける体制を構築していくことが重要だ。そのために、ターゲットとする市場を見極めていく」(同)としている。インフラ整備については、今年4月には同社欧州拠点の旭化成ヨーロッパに専任営業拠点を開設、コロナ禍こその現地化体制に着手した。

 エラストマー事業の上半期を振り返ると、年初に策定した計画通り、堅調に推移しており「どのセグメントも堅調だった。上半期は19年レベルまで回復し、コロナ前の水準まで戻っている」(同)。ただ、「旺盛な需要が在庫の積み戻しなのか、それとも実需なのか、下半期に見極めることが大事だ」(同)との見方を示す。

 製品別では、タフテックをはじめ、タフプレン、アサプレンTの動きが良く「20年度も大きな需要の崩れもなく、今期も道路アスファルト改質剤用途や粘接着用途、食品容器などの動きが堅調だった」(同)。

 同社全体でカーボンニュートラルに取り組んでいく中、同事業部はLCAの観点から、同社認定の環境貢献製品である長寿命化の道路用アスファルト改質剤用途の拡大を進めることでCO2の削減に貢献したり、合成ゴム事業と連携で生産現場からカーボンニュートラルの取り組みを進めるため検討している。

 最近では、10月の「5G/IoT通信展」、ヨーロッパで開催された医療機器関連の展示会、そして米国のTPOカンファレンスなど積極的に出展を行っている。また、同事業部のエラストマーのホームページを随時充実させ、製品のPRに力を入れることで「より多くの方に知ってもらいたい」(同)。

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