宇部興産は12月8日、液晶テレビやスマートフォン向け有機ELディスプレイの回路基板等で販売が拡大しているポリイミドフィルム(商品名「ユーピレックス」)の新工場を宇部ケミカル工場(山口県宇部市)内に建設することを決定したと発表した。2024年10月試運転開始予定で、生産能力は20%増加となる。
同社は、既に工場増設中のポリイミド原料モノマー(BPDA・ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2023年度下期稼働予定)に続き、ポリイミドフィルムも増産することで、顧客への安定供給とともにポリイミド事業の更なる拡大を図る。
ポリイミドフィルムは、電子情報関連機器の回路基板材料などに使用されており、スマートフォン、パソコン、デジタル家電、車載などの市場拡大や高機能化に伴い、今後も需要拡大が見込まれている。
ユーピレックスは同社独自のBPDA系熱イミド法で製造され、他のポリイミドフィルムと比較して耐熱性・機械的特性・寸法安定性に優れていることから、LCD(液晶表示装置)やOLED(有機ELディスプレイ装置)分野向けを主体としたCOF(チップ・オン・フィルム)用途において高い市場シェアを獲得している。また、FPC(フレキシブル・プリント回路基板)用途においても需要が好調に推移している。
このような旺盛な需要に対応するため、積極的な生産能力増強と安定供給体制の確保が必要と判断し、同社は今回の増強を決定した。新工場は生産性を更に向上させる技術も導入し、様々なグレードを機動的に生産できる工場となる。
同社は2022年4月から「UBE株式会社」に商号変更し、化学事業会社として新たな一歩を踏み出す。長い歴史の中で培われてきた「確かなものづくり力」と「スペシャリティケミカル技術」を強みとして、持続可能な社会に求められる価値を創出し続け、地球環境問題、人々の生命と健康、そして豊かな未来社会に貢献するグローバル企業として、持続的成長を実現していくとしている。