三井化学は12月13日、発電事業者・需要家間で直接電力取引が可能なプラットフォームサービス提供事業を運営するデジタルグリッドに出資したと発表した。同社とデジタルグリッドが連携し強みを生かすことで、日本の再生可能エネルギー導入推進に向けたデータソリューション型ビジネスを進めていく。
世界的な地球温暖化を防止するため各国でカーボンニュートラルの取り組みが進められ、日本政府も2050年カーボンニュートラルを宣言している。しかし日本では、大きな役割を果たすべき再生可能エネルギーの利用が、需給調整の手間がかかることやコスト高のため進んでいないのが実情だとされている。さらなる利用拡大には、出力不安定な再生可能エネルギーの需給調整のコスト削減に寄与する簡便かつ低コストな取引きの仕組みが必要であり、両社は、デジタルグリッドが提供するデジタルグリッドプラットフォームが、その有効な手段の一つと考えている。
同社では太陽光発電所の診断・コンサルティングサービスの提供により、再生可能エネルギーの中でも重要な位置付けを占める太陽光発電の安定的な発展・運用に寄与している。さらに今年8月からはオンライン診断サービスも開始し、短時間での発電性能診断や期待発電量予測を可能にしている。同社は、デジタルグリッドプラットフォームとの連携により、データソリューション型ビジネスの創出を加速し、再生可能エネルギーの普及に貢献していくとしている。
デジタルグリッドは、「電力を生む発電家」と「電力を買う需要家」が直接売買できるシステムを備えたプラットフォーム「デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)」を提供している。DGPは、再生可能エネルギー電源に加え通常電源など多種多様な電源と電力需要をピアツーピア(P2P)で結び付けることができ、①電力取引の専門資格やシステム投資なしで取引できる(電力取引プレーヤーを増やせる)、②電源識別を行う(再エネ活用を円滑化する)、③需給調整等の煩雑な業務をAIなどで自動化(発電家は電気の効率的な売却、需要家は電力コスト削減等が見込める)などの特徴を持つ。