■ 新年インタビュー
事業環境の変化に迅速に対応する
横浜ゴム 山石昌孝社長
21年度から中期経営計画「YOKOHAMA Transformation 2023(YX2023)」がスタートした横浜ゴム。年末社長会見で山石昌孝社長は21年の振り返りやYX2023の進捗状況、22年の取り組みなどを説明した。
◆21年を振り返って。
21年12月期は第1四半期は、日本での降雪もあり、新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、収益的にはまずまずの結果となった。しかし、第2四半期は、後半に原材料価格の高騰と世界的なサプライチェーンの混乱によるコンテナ不足の影響で減速した。さらに第3四半期は、半導体や部品不足による自動車メーカーの大減産を受けて、大変厳しい決算となった。 第4四半期も原材料高、コンテナ不足が続くなか、中国の電力不足による生産の一部停止といった逆風もあったが、11月中旬から自動車メーカーの生産が戻ってきたのは明るい兆しと考えている。
◆各事業の現況は。
第3四半期までのタイヤ事業は、経営環境の変化に迅速に対応したことで、売上収益、事業利益とも前年同期を上回った。新車用タイヤは、国内、北米、中国などで自動車メーカーの減産影響を受けたが、売上収益、事業利益とも前年同期を上回った。市販用タイヤも、高付加価値品の拡販に努め、北米、欧州などで販売を伸ばし、売上収益、事業利益とも前年同期を上回った。
MB事業も、売上収益、事業利益とも前年同期を上回った。ホース配管事業は、市況回復により建機向け油圧ホースの販売が好調で、売上収益、事業利益とも前年同期を上回った。工業資材事業は、コンベヤベルトは国内販売が好調で増収増益だったが、海洋商品は減収減益。航空部品事業は、民間航空機向けの需要減退の影響を受け、減収減益だった。
ATGは、原材料や海上運賃の高騰による影響があったが、農機メーカー向け、市販向けともに、旺盛な需要を背景に販売が好調で、売上収益、事業利益とも前年同期を上回り、過去最高となった。
◆「YX2023」1年目の取り組みについて。
タイヤ消費財においては、新車用向けはプレミアムカーへの「ADVAN」「GEOLANDAR」の新車装着に注力した。また、市販用向けは2021年を「ヨコハマ冬の陣」と位置付け、国内は4年ぶりの新商品「iceGUARD7」を発売し、海外は欧州向けウィンタータイヤ「BluEarth Winter V906」を発売した。
タイヤ生産財では「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」として、タイヤのデジタル化による情報サービス強化のため、先進センサータイヤの開発を進めている。その一環として8月にはオリックス自動車と10月にはゼンリンと協力し、タイヤ空気圧の遠隔監視システムなどの実証実験を開始した。