令和4年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年を振り返りますと、2020東京オリンピック、パラリンピックが、史上初の延期、史上初の無観客、というこれまでにない環境下での開催となりましたが、日本選手をはじめとしたアスリ-トの活躍が記憶に残られた方も多かったと存じます。一方、一昨年に引続き、新型コロナウィルス感染症に翻弄された一年であったとも思っております。世界的にみると欧州の一部地域や米国での感染再拡大、新たな変異型の懸念など未だ予断を許さない状況にあります。しかしながら、日本ではワクチン接種が進むにつれ、緊急事態宣言が解除されるなど、徐々にではありますが、コロナ対応が進み、新たな変異型の懸念があるものの、経済活動が正常化に向かっているものと感じております。
さて昨年の日本経済ですが、一昨年は新型コロナの影響で歴史的な落ち込みを経験しましたが、昨年は経済再開に伴い、4~6月期のGDP成長率は、前期比+0.5%(年率+2.0%)となりました。しかしながら、12月8日に発表されました7~9月期のGDP成長率は、前期比マイナス0.9%(年率マイナス3.6%)と2四半期ぶりにマイナスとなりました。足元では、経済回復に伴う原油価格の高騰、世界的な半導体不足や部品の供給不安、原材料の値上げなどが懸念材料となっています。経済環境は依然厳しいものがあり、新型コロナ流行前の水準に戻るには時間が掛かるものと思われます。
このような情勢下、ゴムホース業界におきましては、実体経済の動向を見据えながら需要動向へ機敏に対応しつつ、継続的な変革にチャレンジし続ける企業経営が肝要であると考えております。
昨年のゴムホースの生産は、その他用ホースがほぼ横ばい、自動車用ホース、高圧用ホースが、前年実績を大きく上回りました。ゴムホース全体の年間生産量(新ゴム量)は、前年比9.6%増の31,763トン、出荷金額も前年比9.2%増の1,364億円といずれも前年を上回る見通しです。
次に、昨年の輸出入の状況ですが、輸出は全体の約42%を占めるアジア向けが前年比約23%増。欧州、北米向けも前年を上回り、年間の総輸出額は、前年比約26%増の448億円を見込んでいます。
輸入につきましては、主力の自動車用ホースを始め、各品種とも前年を上回り、年間の総輸入額は前年比約26%増の149億円の見通しです。
本年のゴムホースの生産予測量は、前年比3.6%増となる32,900トン、出荷金額は前年比3.7%増の1,415億円になるものと予測しています。
品種別には、生産構成比約70%を占める自動車用ホースは、下期から半導体不足、部品の供給不安が解消されると見込み、年間生産量は前年比4.1%増と予測しています。
構成比約15%の高圧用ホースに関しましては、土木建設機械・工作機械の高レベルの需要が継続するものと見込み、生産量は前年比4.5%増との予測を立てています。
構成比約15%のその他用ホースは、一般汎用ホース(空気、酸素、アセチレン等)、耐油・耐摩耗・ケミカルホースの一般産業分野での需要が安定基調で推移すると見ており、年間生産量は前年比ほぼ横ばいと予測しています。
以上の如く、本年のゴムホースの生産量は、昨年を上回るレベルで推移するものと予測しています。
次に本年の輸出入について申し上げますと、輸出が460億円、輸入が150億円と、いずれも前年を上回るものと予測しています。
このような業界動向の中で、当工業会は、国際化の進展に伴い、平成12年にISO機関のホース部門(TC45/SC1)で正式メンバー(Pメンバー)となり、日本の実状や考え方をISOに反映させるよう積極的な働きかけを実施して参りました。
昨年は、一昨年に引続きWeb開催となりました、第69回ISO/TC45国際会議に技術委員が参画し、プロジェクトリーダーとして積極的な提案を行うことで成果を上げました。本年も第70回国際会議に参画し、Pメンバーとしての更なる活動を推進して参る所存であります。
何かと不透明感が払拭されない、変化の激しい環境下ではございますが、当工業会と致しましては、様々な産業分野における重要な機能部品であるゴムホースを供給することを通じて社会的責任を果たすとともに、社会に貢献する価値の創造を積極的に努めて参る所存でございます。
末筆ながら、本年が皆様にとって飛躍の年になりますことを祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。