ダウ・ケミカル日本は12月20日、IOC(国際オリンピック委員会)との協力の元、オリンピックのレガシープロジェクトを完了し、東京2020オリンピック大会で使用された装飾用バナーをリサイクルして作られた植木鉢を、凸版印刷と共同で宮城県東松島市に寄付したことを発表した。
11月21日に東松島市で開催された「SDGs産学官連携環境イベント」において、桜井恵理子同社代表取締役社長より東松島市渥美巖市長に、最初に制作された記念の植木鉢が寄贈された。年内には300個の植木鉢が東松島市の小学校に寄贈され、東日本大震災の被災地において、湿地や森を回復させるための苗木を育てるために活用される。また、植木鉢はオリンピック大会の競技が行われた東京都の自治体にも贈られる予定となっている。
リサイクル性を念頭に開発した凸版印刷の装飾用バナーの膜の材料には、同社のVERSIFYエラストマー技術が採用されている。バナーは、本体の膜をはじめハトメ(リング状の補強)や縫製用の糸を含め、単一のプラスチック素材で作られており、従来は埋め立てや焼却されることが多かった装飾用バナーがリサイクルできるようになり、また焼却を回避することで二酸化炭素排出量を約30~35%削減する。また、植木鉢の生産には、同社のFusabond相溶化剤が活用されている。相溶化剤は、使用済プラスチックをリサイクルする工程において、リサイクル品の物理特性を向上させる目的で使われる。
東松島市は、「復興の火」として聖火が最初にギリシャから降り立った土地であるとともに、同社のパッケージング・アンド・スペシャルティプラスチック事業部が市内の学校を対象にSDGsの出前授業を実施して交流を重ねてきた場所でもある。11月1日~2日には、市内の5つの小学校(宮野森小学校、大塩小学校、赤井小学校、鳴瀬桜華小学校、矢本西小学校)を対象に、SDGsに関する出前授業を実施した。同事業部は、2011年東日本大震災以降、仙台市や東松島市において出前授業を提供している。