年頭のあいさつ クラレ 川原仁社長

2022年01月07日

ゴムタイムス社

川原仁代表取締役社長

 昨年は、新型コロナウイルス感染の拡大と、行動制限やワクチン接種の進展による抑制、そして新たな変異株の出現による感染再拡大と、感染症と向き合い続けた一年でした。世界の各地域で影響の規模やタイミング、対応状況の差はあれ、日常生活、社会活動、経済活動の様々な場面で我慢や不自由を強いられることになりました。年が明けた現在でも、新型コロナウイルスへの万全な対策と手段が確立している状態ではありませんが、我々は基本的な感染防止対策を取りつつ、事業活動を前に進めていかなければなりません。

 引き続き移動や交流が制限される中ではありますが、どうすれば新しい形や方法で目的を達成できるかを考え、果敢に実行し、皆さんと力を合わせて、難局を乗り越えたいと思います。

新しい事業機会と収益の創出につなげる新中期経営計画がスタート

 さて、本年度は、2026年に迎える当社創立100周年に向けての新しい中期経営計画のスタートの年にあたります。昨年度までに決定・着手した将来への仕掛け、戦略的投資については、引き続き着実に遂行し成果を獲得するとともに、約二年間を掛けた計画構想期間で吟味、策定した新たな戦略と施策を実行することで、着実な収益力の向上と、新たな事業の創出による成長を図らなければなりません。この間、ワークショップを中心に検討と議論を重ねた全社共通の組織横断的課題への対応については、1月1日付けの組織改定に反映し、推進実行を図ります。新事業創出を図るイノベーションネットワーキングセンターの新設、重要性を増すサステナビリティ課題に対応するためのCSR本部からサステナビリティ推進本部への改組と強化、デジタル技術の導入により経営の革新を加速するためのグローバルデジタルトランスフォーメーション推進室の新設、サプライチェーンマネジメントの充実を図るための購買・物流本部機能の強化などです。さらに、グローバル人事戦略では、ワークショップの活動を職制で継続し、海外各拠点と連携して諸課題への対応を図ります。

 コロナ禍で、やや閉じ気味となっていた思考と行動からの転換を図り、あらためて、外の世界、市場の動向、顧客のニーズなどに関連する情報の入手と分析を積極的に行い、当社の独創性の高い技術と外部の力を有効に活用することで、新しい事業機会と収益の創出につなげることを強く意識しましょう。

 これから5年間の中期経営計画では、事業の成長戦略の実行によって生み出される資金を次の新たな成長に投入することに加えて、気候温暖化への対策など、社会に貢献する諸課題の解決に向けた施策にも振り向けます。新たな枠組みの中で、当社が従来掲げてきた、持続可能な自然環境への貢献、生活環境の向上というビジョンを実現するために、クラレらしいやり方で取り組むことが大切です。

 「社会から得た利益は社会に還元する」という創業者の哲学と、「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という企業理念は、クラレにとってかけがえのない無形の財産でありますが、これは我々一人ひとりが肝に銘じ、行動で示すことで具現化し、それによって初めて、次の世代へと受け継がれていくものです。世界中で活躍する皆さんの自発的、積極的な行動と活発な議論を経て、クラレグループがひとつになって進むべき方向性を示せるよう、充実した一年としましょう。

 ここで、新しい年度の初めにあたり、改めて、私がクラレグループはこのような企業体でありたい、という考えを述べます。

「安全で、安心して働ける会社」であること

 まず「安全で、安心して働ける会社」であるということです。世界中の生産拠点、研究開発拠点、事業所のすべてにおいて『安全はすべての礎』です。全ての社員、役員の皆さんが、安全に対する感性を研ぎ澄まし、よく考え、安全で事故が起こらない会社を目指して仕事に取り組んでいただきたいと思います。そして、様々な個性や多様性を持った人々が、ハラスメントなどの無い職場で、安心して誇りをもって働ける会社でありたいと考えます。

前向きな意識と姿勢で活力と創造力のみなぎる企業に

 二つ目は、クラレグループが活力のある元気な企業体でありたいということです。大きな環境の変化をも機会としてとらえ、我々自身が変化をしながら進化をする、向上力、突破力、たくましさが必要です。足元の状況に過度に一喜一憂せず、本質について深く考え判断すること、迅速に行動すること、それらを可能にするための前向きな姿勢が大切です。失敗を恐れずに挑戦する前向きな姿勢と意識をもって、色々な場面でイノベーションや変革に繋がるアイデアを生み出して実行し、大きな成功に繋げていきたいと思います。皆さんにはクラレグループが活力と創造力のみなぎる企業体であり続けるためにも、是非、このことを心掛けていただきたいと願います。

世界の人々から「かけがえのない会社」として認められるように

 三つ目は、クラレグループの一人ひとりが社会人・企業人としての高い倫理観と、コンプライアンスの徹底に対する強い責任意識を持ち、行動することで、自分自身も成長し、会社も成長するような好循環を生む企業でありたいという事です。あらゆる企業活動の基本はヒトの力です。どれだけ情報技術や機械が発達しても、ヒトがそれらを活用し、動かす原動力であるということに変わりはありません。ヒトとその集合体である企業が、良き企業市民としての存在感を示し、価値を生むことで、世界の人々からクラレが「かけがえのない会社」として認められるようになりたいと考えています。

 最後になりますが、世界中のクラレグループの皆さんとご家族の方々にとって、本年が健康で幸多い年となりますようお祈りします。

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