SABICはこのほど、自動車の室内で発生するBSR(バズ・軋み・ラトル)ノイズの防止に寄与する、自己潤滑性に優れた「LNP LUBRILOY N2000 コンパウンド」を開発した。同LNPコンパウンドは、非晶性樹脂ブレンドをベースとした製品で、成形着色性と塗装性を兼ね備えている。独自に開発した相溶化オレフィン系アロイは、シリコーンやポリテトラフルオロエチレ(PTFE)を含有していない。標準的なPC/ABSをこの革新的な材料に直接置き換えることで、自動車OEMや部品サプライヤーは、成形部品間の摩擦やスティック・スリップと呼ばれる振動現象を大幅に低減し、不要なノイズを抑制または防止することができる。
同社が独自に開発したこの潤滑技術は、相溶化されたオレフィン系アロイをベースにしている。これによって「LNP LUBRILOY N2000 コンパウンド」は、金属やプラスチックの表面に接触しながら動作する樹脂部品において、低い摩擦係数(COF)と優れた耐摩耗性能を実現する。また「LNP LUBRILOY N2000 コンパウンド」は、VDA230―206のBSR試験におけるリスク指標(RPN)が、通常5以上の値を示す非改質PC/ABS材料に対して、3未満であることを示している。この新素料は、ミラーハウジングやトリム、カップホルダー、ボタンガイド、冷暖房空調(HVAC)のフレームといった自動車内装部品に加えて、摩擦や摩耗の低減が求められる家電製品への適用も見込まれる。
2020年7月に欧州委員会は、材料に含まれるパーフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩、およびPFOA関連物質の含有量に制限を設けた。サプライヤーはPTFEを含む材料に関して、PFOAの推奨基準値(25ppb未満)を下回っていることを証明する必要がある。「LNP LUBRILOY N2000 コンパウンド」はPTFEを使用していないため、ユーザーはPTFEの含有を気にすることなく、従来の潤滑材料と同様の耐摩擦性能を引き出すことができ、またPTFEに含まれる可能性のある微量の不純物(PFOA)を排除することができる。